数多くの詩や絵画を残し１７歳で早世した山田かまちさん（１９６０～７７）が、「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる漫画家の水木しげるさん（１９２２～２０１５）に寄せていた手紙が見つかった。かまちさんが幼い頃から水木さんの作品に親しみながら、独自の世界観を広げていったことを示す資料だ。

手紙は、水木さんがスケジュールや作品のアイデアを書き留めていた日記帳の１９７１年８月下旬のページに貼られていた。かまちさんが１１歳ごろに書いたものとみられる。

はがきの表面にかまちさんの氏名と住所が記され、裏面に「先生、おてがみありがとう」と水木さんからの返信を喜び、「ぼくはちいさい時からキタロウがすきでした」などと書かれている。

さらに、「自考ようかい第二」「ゆうれい師」として「昼は石で１ｍ（メートル）だが夜になるとうかんで身長５０ｍになって町をおそう」という説明書きとともに、かまちさんが自身で考案したとみられる妖怪の絵が描かれていた。

山田かまち美術館（群馬県高崎市）の塚越潤館長は、かまちさんが燃えている町を描いていることや、「きみょうなうたがきこえてくる」という描写に着目し、「頭の中に浮かんだ情景を描いたのではないか。かまちが長じて絵に描いた空想的な世界のへんりんがすでに見てとれる」と話す。

水木プロダクションによると、当時、水木さんは自身が巻き起こした妖怪ブームで創作活動が多忙を極めていた。そんな中で、「ファンからの手紙を日記帳に貼っていたということは、何か興味を引くところがあったのかもしれない」という。

手紙は、２６日～５月８日に大丸ミュージアム京都（京都市下京区）で開催される「追悼水木しげる ゲゲゲの人生展」（朝日新聞社など主催）で展示される。（久保智祥）

◇

《山田かまち》 幼少期から絵の才能を発揮し、独自の感性が光る水彩やデッサン、詩文を多く残した。高校１年の夏、エレキギターの練習中に感電死した。遺作は９０年代初期にブームを呼び、高校の教科書にも掲載された。