頭部に赤いＣマークが入ったコイ「カープちゃん」が人気の冠山総合公園（山口県光市）。記者は、ここに足しげく通う中で、さらなる「珍種」を発見してしまった。勝手につけたその名は「人面くん」。彫りが深く、鼻筋の通った面構えは一度見たら忘れられない。

３６０度動画「いきもの目線」

広島東洋カープのファンに愛されるカープちゃんを筆頭に、リボンちゃん、ボタンちゃん、カエルくん、金魚ちゃん――。役者がそろう園内の修景池で、人面くんを見つけるのはなかなか難しい。

ファンの期待に応えようとしてか、盛んに泳ぎ回るカープちゃんのようにハッスルしたりしない。そのカープちゃんに負けじと、水面ジャンプを繰り返すカエルくんのように出しゃばりでもない。静かに深く潜行し、エサを見つければゆっくりと現れ、また悠然と消えていく。

水面すれすれに浮上した瞬間、日差しを受けた頭部が人間の顔のように見えるのだ。何か気に入らぬことがあるのだろうか。ぶすっとしていて、怒っているようにも見える。

池を訪れる人の中には、お気に入りのコイにひそかにニックネームをつけて可愛がっている人もいる。それにならって記者が名付けてみたコイのうち、イチ押しが「人面くん」なのだ。

リーグ３連覇に向けてカープの快進撃が続く今、カープちゃんの「天下」は変わりそうにない。週末ともなればカープファンが詰めかけ、「神鯉」に願をかけていく。

カープちゃんを見つけるとその日の試合でカープが勝つといううわさがあるらしく、池のほとりでは「おれは２回見た」「３回見た」などと目撃を競い合うファンの声が響く。

ひょっとしたら、コイの世界の「１強多弱」ぶりに、人面くんは腹を立てているのかも知れない。

そんな彼にブレークの時は果たして来るか。

来ないよなあ。（三沢敦）