大型連休を前に、東京都内の花の名所が悩んでいる。最高気温が２５度前後まで上がる連日の暑さに、呼び物の花が早咲きしてしまったからだ。人出が見込める連休まで花がもたないとみて、「早めの来場を」と呼びかける施設もある。

季節の花

「ここ１０年で開花のペースが最も早い」。境内に約１００種３千株のツツジが植わる根津神社（文京区）の担当者は、そう話す。例年６０万人が訪れる「文京つつじまつり」が今年も今月７日から５月６日の日程で開催中だが、今月２０日までですでに満開になってしまった。神社を訪れた港区の会社員の佐藤直紀さん（２８）は「友人から満開だと聞いた。早めに来てよかった」と話した。

祭りの期間中、最大の人出が見込めるのが、４月末から５月初めの大型連休。祭りのどの時期でも花を楽しめるよう、境内には早咲き、中咲き、遅咲きと開花時期の違うツツジを植えているが、今年は例年より１～２週間は見頃が早まった。担当者は「２３日ごろから、どんどん花が落ちてしまいそうだ」と嘆く。

気象庁によると、３月の都心の平均気温は１１・５度で観測史上３番目の高さ。４月以降も高温で、平年は月９日あった最高気温２０度超の日が、今年は２２日までに１５日間に上った。

ご神木の「千年乃藤」で知られる国領神社（調布市）は２９、３０両日に「藤まつり」を予定しているが、２０日までに満開となってしまった。神社の担当者は「藤の花の色と香りを、祭りの時期に楽しんでいただけないのは残念」とあきらめ顔だ。

ウェブサイトで「早めのご来苑を」と呼びかけているのは、境内の「ぼたん苑」が有名な上野東照宮（台東区）。「春のぼたん祭り」を５月１３日まで開催中だが、遅咲きのボタンがすでに見頃だ。町田市の町田ぼたん園も、見頃を４月いっぱいと予想。ボタンの後に見頃となるシャクヤクも今年は咲き始めた。管理する市の担当者は「サイトで開花状況を確かめて来園を」と呼びかける。

気象庁によると、気温の高い日は今後もしばらく続く見込み。２５日には降雨も予想されており、一斉に落花する可能性もある。（大賀有紀子）