2025年1月1日に発生した能登半島地震から1年が経過し、2025年5月2日、石川県を中心に復興への取り組みが改めて注目されている。この地震はマグニチュード7.6を記録し、輪島市や珠洲市を中心に甚大な被害をもたらした。死者数は200人を超え、倒壊した家屋は数万棟に上った。1年後の現在、被災地では復興に向けた努力が続いているが、課題も山積している。

政府は復興支援として数百億円規模の予算を投じ、仮設住宅の建設やインフラの修復を進めてきた。輪島市では、伝統工芸である輪島塗の職人たちが工房の再建に取り組んでいるが、資材不足や資金難により進捗は遅れている。地元住民からは「生活再建にはまだ時間がかかる」との声が多く聞かれる。特に高齢者が多い地域では、仮設住宅での生活が健康に影響を及ぼし、コミュニティの維持が難しい状況だ。

一方で、観光業の復活を目指す動きも見られる。能登の海産物や温泉を活用したキャンペーンが展開され、観光客の呼び込みを図っている。しかし、地震の記憶が風化しつつある中、外部からの支援が減少傾向にあることが懸念されている。地元自治体は、復興のシンボルとして新たな公共施設の建設を計画しているが、予算配分を巡る議論が続いている。

また、地震発生から1年を機に、防災意識の向上を目指す取り組みも強化されている。石川県では、地震を教訓とした防災教育が学校で導入され、避難訓練の頻度も増えている。専門家は「能登半島地震は、今後の大規模災害への備えを見直す契機となる」と指摘する。特に、南海トラフ地震への備えが急務とされており、政府は全国的な防災計画の見直しを進めている。

被災者の中には、復興への希望を見出す声もある。輪島市のある住民は「地域の絆が強まり、若い世代が戻ってくるきっかけになれば」と語る。しかし、復興の道のりは長く、持続的な支援が求められている。2025年5月2日、能登半島は新たな一歩を踏み出すための決意を新たにしているが、完全な復興にはさらなる時間と努力が必要とされている。