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学校の管理下で死亡などの見舞い金制度“適切な運用を”要望書

作者:未知 文章来源:NHK 点击数 更新时间:2025/5/22 8:29:39 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

学校で児童・生徒がけがをしたり死亡したりした場合に保護者に医療費や見舞い金が支給される制度について、子どもを自殺で亡くした親たちが制度の適切な運用を求める要望書を国に提出しました。

要望書を提出したのは、子どもを自殺で亡くし、背景に不適切な指導があったとする親たちの団体です。

団体が訴えたのは学校の管理下で児童・生徒がけがや死亡した場合に、学校側の申請に基づき保護者に医療費や見舞い金が支払われる「災害共済給付制度」の適切な運用です。

この制度は保護者や学校設置者の掛金などを元にした共済制度で、自殺については学校側の調査などでいじめや体罰、不適切な指導などが原因にあるとされた場合が対象となります。

令和5年度に自殺に対して給付された「見舞金」は全国で13件でした。

団体は要望に先立ち、制度の運用について、「子どもの自殺が過去最多となるなか、制度を知らない保護者も多く、本来はもっと対象になるケースがあるのではないか」と訴えました。

また、申請は学校設置者がするとされていることについて、「『学校に責任があると捉えられるのではないか』という考えなどから、学校が申請をしてくれない」という課題を指摘しました。

このため団体では、制度の周知徹底や、学校側だけでなく、保護者が直接申請できる仕組みを加えることなどを訴える要望書を21日、制度を所管するこども家庭庁に提出しました。

集会の中で、中学生だった息子を亡くした母親は「適正に運用されることが、学校や設置者が子どもの死に真剣に向き合い、尊厳が守られることにもつながる」と訴えました。

要望を受け、こども家庭庁は
▽制度がどのように運用されているのか現状把握に努めるとともに
▽保護者による申請が支障なく行えるよう、対応を検討するとしています。

息子が自殺した女性「もっと遺族の声を聞いてもらえるように」

集会で、制度の申請方法について保護者が直接申請できる方法を追加してほしいと訴えた広島県東広島市の女性です。

13年前、中学2年生だった息子が学校で複数の教員から繰り返し指導を受けたあと、自殺しました。

両親は学校の管理下での不適切な指導に原因があるとして学校に「見舞金」の申請を求めましたが、申請内容に意見は反映されなかったといい、給付の決定は「登下校中」の死亡とされました。

母親は「学校側には教員を守ろうとする態度が見え息子の死には向き合ってくれないんだと、本当にないがしろにされていると感じた」と当時を振り返りました。

その後、両親が適正な判断を求めて起こした裁判で、裁判所は「不適切な指導」があったとして和解を勧告し、学校側はこれに応じて謝罪しました。

母親は「今の制度では、学校が申請を行うので、ほとんどの場合、学校の意向が反映される申請書になってしまう。そうすると不適切な指導や体罰、いじめに対して、学校側が向き合ってくれていないと泣き寝入りになる遺族が出てきてしまう。もっと遺族の声を聞いてもらえるようにしてほしい」と話していました。

「災害共済給付制度」とは QAで詳しく

Q. 「災害共済給付制度」とはどんな制度?

授業や部活動などの学校の管理下で、子どもがけがをしたり死亡したりした場合に、日本スポーツ振興センターが学校設置者の申請に基づき、保護者に対して医療費や見舞い金を支給する共済制度です。

学校設置者と保護者、それに国が運営の経費を負担しています。

2023年度には全国の学校などで児童生徒のおよそ95%にあたる1575万人が加入しています。

Q. そもそも制度の目的は?

子どもの自殺の問題に詳しい生越照幸 弁護士によりますと、学校の管理下で児童・生徒が、けがをしたり、亡くなったりした場合に、学校側に過失があるかどうかに関わらず保護者の経済的な負担を軽減しようとするのが制度の趣旨だということです。

しかし、この制度がほとんど知られていないのが現状だと指摘します。

制度自体も知られていない上に申請できる期間が原則2年とされているため、申請の対象だったとしても制度を知らないまま期間が過ぎてしまう保護者もいるのではないかといいます。

この申請の期間については「特別な事情がある」と認められた場合は、2年を経過しても申請が認められるとされていますが、弁護士などの専門家がついていなければわからないことも多く、制度の周知が必要だとしています。

Q. 保護者と学校側の言い分が異なる場合でも申請できる?

学校側を経由して申請はできます。

給付の決定は提出された学校側の調査結果などをもとに行われますが、学校と保護者の言い分が異なる場合、生越弁護士は、制度を運用する日本スポーツ振興センターが主体的に調査し、どのような決定にするかを判断することが必要ではないかと指摘しています。

また、「見舞金」の対象となるのは、自殺の場合、いじめや体罰、不適切な指導が原因にある場合とされていますが、どういった行為がいじめや不適切な指導などにあたるのかなどは規約には明示されておらず、制度がわかりにくいものになっているのではないかと言います。

生越弁護士は、制度の周知とともに、過失を問う制度ではないことを学校側も理解し、保護者の求めがあった場合は速やかに申請することが必要だと指摘しています。

その上で「きちんと補償して、教育現場を安心して教育を受けられる環境にするということが、この制度の究極の目的。もっと利用しやすい手続きにすることが、あるべき制度の形だと思う」と話していました。




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