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岩手 大船渡 山林火災 自主的に避難の福祉施設に県が経費補助

作者:未知 文章来源:NHK 点击数 更新时间:2025/5/26 10:17:08 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

岩手県大船渡市で大規模な山林火災が発生してから26日で3か月です。
当時、高齢者施設や障害者施設の中には自主的に入所者を避難させた施設がありましたが、かかった経費は施設側の負担になっていたため県が一部の補助を決めていたことがわかりました。岩手県はこうした福祉施設の安全に関わる経費について、国に財政措置を講じるよう求めています。

総額400万円ほどかかった施設も…

岩手県によりますと、ことし2月26日に発生した山林火災では、大船渡市内の高齢者施設や障害者施設のうち11の施設が入所者を県内外のほかの施設に避難させたということです。

中には総額で400万円ほどかかった施設もあり、負担は大きなものになっていました。

災害時の避難に関わる費用を国が負担する仕組みがありますが、内閣府によりますと、入所者の移送費など経費の一部を国が負担するのは▽災害時の被災者などへの支援について定めている「災害救助法」が適用されたうえで▽自治体から「避難指示」や「高齢者等避難」が出された地域にある施設が、▽自治体の支援を受けるなどして自治体が定めた避難所などに避難した場合に限られるということです。

今回は大船渡市に災害救助法が適用されたものの、▽避難指示が出る前に自主的に入所者を避難させた9の施設のうち7の施設で最後まで避難指示が出されなかったほか、▽11の施設すべてが自治体の支援を受けずに自治体が定めた避難所ではないほかの施設に避難しているため、内閣府は、いずれも国の経費負担の対象にはならないとしています。

こうした中で岩手県は、山林火災の延焼を予測することの難しさや、施設側の厳しい財政事情を考慮し、避難にかかった経費のうち入所者の移送費や職員の時間外手当について、県の予算で独自に補助することを決めました。

先月末に成立した補正予算には600万円が盛り込まれていて、岩手県はこうした経費について、国に財政措置を講じるよう求めています。

県の担当者は「入所者の安心・安全を守るための避難を施設側がちゅうちょすることがないよう国には適切な手当をしてほしい」としています。

自主的に避難の高齢者施設は

 

今回の山林火災で、体の不自由な高齢者が入所する大船渡市の高齢者施設は、避難指示が出てからでは間に合わないおそれがあるとして、入所者を県内のほかの施設に自主的に避難させました。

施設側はかかった経費の一部を補助する岩手県の措置について「大変ありがたいことで、国や県にはこれを契機に補助の制度化を検討してほしい」としています。

大船渡市三陸町越喜来にある高齢者施設「さんりくの園」には、山林火災の発生当時、82人の高齢者が入所していました。

施設のある場所に高齢者等避難や避難指示の情報は出ていませんでしたが、自力で歩けない入所者が多く周辺に煙が迫ってきたことなどからこのままでは避難が間に合わなくなるおそれがあると考え、発生から5日目となる3月2日、自主的に入所者を避難させることを決めました。

そして、翌々日までに、隣接する陸前高田市や住田町のほか遠野市や宮古市など、県内のほかの高齢者施設11か所に入所者全員を避難させました。

避難生活は5日間から9日間にわたり、避難先での介護のため職員も各施設に派遣して対応にあたりました。

ほかの施設に避難したことについて施設長の千田富士夫さんは「入所者は寝たきりの人や車いす生活の人が多く、バリアフリーなど環境の整った施設でないと生活できないためだ」と話していました。

決断の背景に東日本大震災の教訓

 

素早い避難を決断した背景には、14年前の東日本大震災の教訓がありました。

当時、施設は海からおよそ800メートル内陸にありましたが、高い津波に襲われて全壊し、逃げ遅れるなどした入所者や利用者、それに職員のあわせて58人が犠牲になりました。

その後、施設を津波の想定されていない高台に再建させましたが、震災の教訓を踏まえ、あらゆる災害において早めの避難を心がけていたといいます。

ただ、入所者の移送費をはじめ、職員の時間外手当や避難先の施設に通う通勤費、それに受け入れてくれた施設に支払う利用料など、避難にかかった経費は総額で400万円余りにのぼったということです。

避難指示が出されない中での自主的な避難だったことや、避難先が自治体が定める施設ではなかったことで経費は施設側が負担せざるをえない状況でした。

こうした中で入所者の移送費と職員の時間外手当について、県から補助が出ることになりました。

施設長の千田さん
「物価の高騰もあってただでさえ厳しい経営状況なので、補助は大変ありがたいです。補助が出るとなれば、より安心感をもって迅速な避難を決断できると思います。これを契機に国や県には災害時の避難に対する補助の制度化も検討してもらいたい」

専門家 “法律を変えていくことが必要”

 

災害時に福祉施設の入所者の避難にかかる経費について、専門家は「早めに避難をした福祉施設にも国から支払われる仕掛けにするなど、法律を変えていくことが必要だ」と指摘しています。

福祉防災学が専門の同志社大学の立木茂雄教授は、福祉施設の避難に関わる経費を一部負担した岩手県の対応について「高く評価できる対応だ。早めに避難することは防災的にははるかに理にかなった行動で、人の命とお金のどちらが大事なのかという問題に尽きると思う」と話しています。

立木教授は、防災と福祉の関係については現在転換点を迎え、国が費用を負担する災害救助法などの対象に福祉的な支援を位置づけるための議論がいま、国で進められているとしています。

そのうえで立木教授は「福祉施設は災害時のBCP=業務継続計画の作成を義務づけられている。例えばBCPを作っていて早めに自主避難をした施設は、避難にかかった費用が国からきちんと支払われる仕掛けにするなど、法律を変えていくことが必要だ」と指摘しています。




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