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熊本 飲酒し70キロ以上でバック死傷事故 被告に懲役12年の判決

作者:未知 文章来源:NHK 点击数 更新时间:2025/5/27 19:14:19 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

去年6月、熊本市で車を時速70キロ以上でバックさせ、歩行者の女性2人をはねて死傷させた事故が、危険運転致死傷の罪にあたるかどうかが争われた裁判で、熊本地方裁判所は危険運転の罪が成立すると判断し、24歳の被告に懲役12年の判決を言い渡しました。

熊本市中央区の元飲食店従業員、松本岳被告(24)は、去年6月、市内で酒を飲んで車を運転して追突事故を起こしたあと、現場から逃走しようと時速70キロ以上で車をバックさせて走行し、歩いていた横田千尋さん(当時27)をはねて死亡させたほか、一緒にいた20代の女性にけがをさせたとして、危険運転致死傷などの罪に問われました。

裁判では、法定速度を30キロ上回る速度でバック走行した今回の事故に、危険運転致死傷の罪が適用されるかが争われ、検察は要件となっている「進行を制御することが困難な高速度での走行」にあたるとして、懲役12年を求刑したのに対し、弁護側は「この要件にはあたらない」と主張していました。

27日の判決で、熊本地方裁判所の中田幹人裁判長は「被告の運転する車は、バックする速度を上げると、ハンドル操作よりも車が大きく曲がる現象が起きやすくなる。わずかなハンドル操作で車が歩道にそれたのは、速度が速すぎたためだと考えるのが合理的だ」として、今回の事故は「制御困難な高速度」にあたると認め、危険運転致死傷の罪が成立すると判断しました。

そのうえで「追突事故や飲酒運転の発覚を免れようとして無謀な運転に及んだ意思決定は強い非難に値する。将来ある命を突然絶たれた被害者の無念は察するにあまりある」として、求刑どおり懲役12年を言い渡しました。

最後に裁判長が、「被害者のことを決して忘れることなく償いを続けてください」と語りかけると、被告は小さくうなずいて聞いていました。

遺族代理人の弁護士「適正で法に従った評価がなされた」

亡くなった女性の父親の代理人を務める籾倉了胤弁護士は、危険運転致死傷の罪が適用され、求刑どおり懲役12年の判決が言い渡されたことについて、「適正で、法に従った評価がなされたものだと認識しています。バックでの走行における70キロの速度が高速度だと認定されたことについては、妥当なものだったのではないかと思います」と述べました。

そのうえで、父親の様子について「被害者遺族の感情として、いかなる処分が下ったところで、終わらない事件の中の一つの過程にすぎないという思いで話をされていた」と話していました。

被告の担当弁護士「今後の方針本人の意向確認して決める」

判決のあと、被告の弁護を担当した高野大樹弁護士は「今後の方針については、本人の意向を確認してから決める」と話していました。

熊本市長「事故を風化させることなく啓発活動を今後も継続」

事故で亡くなった横田千尋さんは当時、熊本市の職員で、市内の児童相談所に勤務していました。

27日の判決を受けて熊本市の大西一史市長は「どのような判決であっても失われた命が戻ることはなく、その悲しみは決して癒えるものではありません。今回の痛ましい事故を風化させることなく、飲酒運転の根絶に向けた啓発活動を今後も継続してまいります」とするコメントを発表しました。

事故の直前 現場付近の防犯カメラの映像では

事故の直前に撮影された現場付近の防犯カメラの映像では、黒い軽乗用車が、事故の起きた場所の方向にバックで走行する様子が写っています。

車は片側1車線の道路のセンターラインをはみだすなどして、かなりのスピードで走行していることがうかがえます。

このあと歩道に突っ込み、2人をはねたとみられています。

裁判の経緯

初公判では、検察が今回の事故のいきさつを説明しました。

それによりますと、被告は事故を起こした前日、勤めていたホストクラブに車を運転して出勤し、接客していた午後9時から11時半ごろまでに少なくとも缶チューハイ5、6本を飲んだということです。

退勤後にみずから車を運転して、知人の家やカラオケなどに行き、午前4時15分すぎ、自宅に帰る途中でトラックに追突する事故を起こしました。

被告はその場から逃走しようと、時速70キロから74キロでバックで走行し、240メートルほど進んだところで進路を保てなくなり、歩道に突っ込んで歩いていた女性2人を死傷させたとしています。

そのうえで検察は、被告の運転は危険運転致死傷の罪の適用要件とされている「進行を制御することが困難な高速度での走行」にあたると主張しました。

これに対し弁護側は、事故を起こしたことは認めたうえで、「制御困難に陥った原因はバックの走行にあり、『高速度』の要件にはあたらない」として、危険運転致死傷の罪は成立しないと反論しました。

また被告は、当時の心境について、「最初の事故を起こしたあと飲酒運転がばれるのが怖く、前に車がいたのでバックで逃げようと思った。酒は残っていると思っていたが事故を起こさないだろうという軽い気持ちで運転してしまった」と述べました。

そのうえで遺族に対し、「尊い命を自分の身勝手で無責任な運転で奪ってしまい、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪しました。

裁判では、亡くなった横田千尋さんの父親が意見陳述を行いました。

この中で千尋さんについて、「幼い頃から真面目で、頑張り屋さんで誰にでも優しく、いつも多くの友人に囲まれていました。『たくさんの子どもを幸せにしたい』と、夢であった児童相談所の職員になり、社会人として公務員として、夢にも希望にも満ちあふれていた人生で、これからもやりたい事はたくさんあったと思います」と語りました。

そのうえで、「被告の身勝手な行動で千尋はわずか27年でこの世を去ってしまいました。私も家族も大きすぎる喪失感の中で悲しみと悔しさ、無念さで毎日が地獄です。可能なかぎり厳しい処分を求めます」などと、ことばを詰まらせながら訴えました。




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