仙台市に本社がある大手生活用品メーカー、アイリスオーヤマのグループ会社「アイリスアグリイノベーション」は、5月27日に随意契約で備蓄米1万トンを購入する契約を締結していて、29日午前10時に宮城県亘理町にある精米工場に第1便となる12トンの備蓄米が到着しました。
コメは令和4年産の国産米で、トラックから降ろされたあとフォークリフトで倉庫に次々と運び込まれました。
このあと検査が行われ、品質に問題がないと確認されれば、29日夕方以降に精米が行われる見通しです。
販売にあたっては現在、ブレンド米向けで使っている袋を活用するほか、消費者が備蓄米と分かるよう袋にシールを貼るということです。
アイリスオーヤマの田中伸生執行役員は「1日でも早く消費者の手にわたるようにスピーディーに作業を進めてきた。まだ限られた量だが、今後、入荷次第早く店頭に並べたい」と話していました。
この会社では、5キロ入り税込み2160円で6月2日から宮城県と神奈川県、それに千葉県の店舗で販売を始めるということです。
また、オンライン販売向けには予約の受け付けを29日午後1時から開始し、6月1日から発送を始めるとしています。
また「楽天グループ」は、政府の備蓄米について29日午後から会社が運営する通販サイトで1袋あたり5キロ税抜き1980円で販売すると発表しました。
運営する複数のサイトで備蓄米が入荷されしだい、順次販売する予定で、6月7日以降、発送を始めるとしています。
サイトによっては、1人が購入できる数を1日2袋までに制限するとしていて、販売や予約が上限に達した場合は、一時的に受け付けを終了することもあるとしています。
随意契約での備蓄米の売り渡しをめぐっては、農林水産省が27日、大手小売業者からの購入申請の受け付けを休止しましたが、楽天グループは1万トンの購入を申請していました。
小泉農林水産大臣は29日の参議院農林水産委員会で、随意契約による備蓄米の売り渡しに関連して「コメの不足感を払拭することは価格に対する影響も含めて極めて大事だ。今までは端境期に足りなくなるのをおそれて卸売業者も少しずつ出していた。買い物する人々も足りなくなったら困るから少し多めに買おうとしていたが、今回の売り渡しでこうした行動に変化が生まれると思う」と述べ、コメの値下がりにつなげるため、消費者のもとに備蓄米ができるかぎり早く届くよう全力をあげる考えを強調しました。
また「今までのコメの流通といきなり小売業者に流すというこの両方の流通の形をしっかりと分析、検証して、コメの流通のどこに課題があるのか解明していかなければいけない」と述べ、農林水産省として今後コメの流通の課題について分析や検証を進めていく考えを示しました。
林官房長官は午前の記者会見で「備蓄米の円滑な供給に向けては小泉農林水産大臣が精米や袋詰めの機能を持つ卸売業者の団体とも面会し、スピーディーな流通への協力を要請している。安価で安定的に供給できるようしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。