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LGBTQなど性的マイノリティーの中高生9割が“学校で困難経験”

作者:未知 文章来源:NHK 点击数 更新时间:2025/6/8 15:40:33 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

LGBTQなど性的マイノリティーの子どもや若者を対象にした調査で、過去1年間に学校で困難やハラスメントを経験した中高生が9割にのぼったことが分かりました。

この調査は、LGBTQへの理解を促す活動に取り組むNPO法人が、ことし2月から3月にかけて12歳から34歳までの当事者を対象にインターネットを通じて行い、4733人から得られた回答を分析しました。

この調査に回答した中高生1077人のうち、過去1年間に学校で困難やハラスメントを経験したと回答した割合は、89.5%にのぼりました。

回答した中高生のうち、教職員がきっかけで困難やハラスメントを経験したと回答した割合は63.8%にのぼり、具体的な内容を複数回答で聞いたところ、「不要な男女分け」が46.2%、「回答者やほかの人がLGBTQではないと決めつける言動」が30.1%などでした。

また、ほかの生徒がきっかけとなったものでは、「LGBTQではないと決めつける言動」が63.7%、「LGBTQをネタや笑いものにされた」が43.9%などでした。

さらに、回答した中高生のうち、担任の先生に安心して相談できないと回答した割合は94.6%を占めました。

おととしに施行された性的マイノリティーの人たちへの理解増進法では、学校での理解促進などが努力義務とされましたが、調査からは子どもたちが困難に直面している実態が浮かび上がりました。

調査を行ったNPO法人「ReBit」の代表理事で自身も当事者の藥師実芳さんは、「理解増進法が施行されたが、調査からは変わらず生きづらい現状が見えている。子どもの半径5メートルの環境が変わるためには、学校の先生など大人たちの理解促進が重要になるので、教員の養成課程や研修で、多様な性に関する知識や支援スキルを体系的に育成する仕組みの強化が必要だ」と話していました。

文科省“教職員の理解深まっていると思うが周知徹底図りたい”

 

学校現場でも教職員に対して性的マイノリティーの子どもたちに対する理解や配慮ある対応を行うよう取り組みが進められてきました。

文部科学省は2010年と2015年に2回にわたり、各教育委員会などに対して性同一性障害の児童や生徒に対する支援や相談体制の充実を図るよう通知を出しました。

また、2022年にまとめられた「生徒指導提要」では、性的マイノリティーに関して教職員が理解を深めて心ない言動を慎み、配慮しながら支援を進める重要性が指摘されました。

一方で近年、性的マイノリティーについて掲載する教科書が増えていますが、現在の「学習指導要領」では、児童や生徒にどのように教えるか明確に示されていません。

このため文部科学省は、現在行われている改訂に向けた議論の中で検討するとしています。

今回のNPO法人の調査結果について文部科学省は「これまでの取り組みで性の多様性などに対する教職員の理解は深まっていると思うが、無意識に誤った発言をしてしまうことも考えられる。こういう問題が1つでもあるかぎり、周知徹底を図っていきたい」としています。

LGBTQの当事者が語る 違和感を感じた経験とは

 

LGBTQの当事者として各地の学校などで啓発活動に取り組んでいる大学4年生の中島幸乃さん(22)は、女子校の中学と高校に通っていました。

当時は、性自認が揺れ動いたり分からなくなったりした時期だったといい、「女性だから」と決めつけるような授業での発言に、違和感を覚えたということです。

中島さんは「女性性を意識させる表現だったり、女性だからという理由で家庭科で裁縫や料理を学ばされたりして、授業の受け手の自認する性がみな女性であることが前提の教育だと感じました。学校側に性の多様性に対する深い理解がない中で、そういった教育を押しつけられることが受け入れられませんでした」と振り返りました。

また、現在通っている大学でも、戸惑いを覚えることがあったといいます。

マーケティングの授業で作成したアンケート用紙で、性別の欄に『その他』や『回答しない』という選択肢を加えたところ、担当の教員から「LGBTQなどの人をデータに入れようとしていないよね」などと言われたということです。

中島さんは、「そういう発言をする教育者がいることに驚きましたし、人によっては生きづらさを感じると思います」と述べました。

そのうえで「社会の中で当事者と非当事者という分断が残っていると思いますが、そのはざまで揺れ動いている人もいるので、セクシャリティーだけでなく、多様な人間の個性に寛容になっていくことが必要だと思います」と話していました。

専門家 “教職員対象に 知識や理解深める研修の義務化を”

 

性的マイノリティーの問題に詳しい追手門学院大学の三成美保教授は、今回の調査結果について「非常に高い確率で被害経験を持っている生徒たちの姿が浮かび上がったということは危機的な状況だ。子どもたちの知識が増えたことで自分や友達がLGBTQだと認識し、被害意識も高まっている一方、周りの大人の理解が伴っていないので、被害を自覚したときの深刻度も増しているのではないか」と述べました。

一方で、学校現場での教職員の取り組みについては、「理解を増進するための教育や改善を図る努力は行われているが、取り組みが全国レベルで均質に広がっておらず、ばらつきや格差がある。熱心な先生や学校の努力が今は点にとどまっているのが現状だ。理解増進法は努力義務としているが、点を面にするためには、措置義務のような強制力のある仕掛けを作っていく必要があるのではないか」と指摘しました。

そのうえで、今後求められる具体的な取り組みとして、国が調査を行って性的マイノリティーの人たちの現状や課題を把握することや、「学習指導要領」に性の多様性に関する内容を盛り込むこと、それに、教職員を対象としたLGBTQに関する知識や理解を深めるための研修を義務化することをあげました。

三成教授は「学校がLGBTQへの理解を推進する場として機能するために教職員がその重要な役割を担うことが、子どもたちを守るためには必要だと思う」と話していました。




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