日本郵政グループのゆうちょ銀行と全国の金融機関の間で、来年1月にも現金の振り込み(送金)が可能になる見通しであることが6日、分かった。全国の民間金融機関の送金を仲介する決済システムを運営する全国銀行協会が、全銀協側のシステムにゆうちょ銀の接続を認める方針を固め、加盟各金融機関に非公式に通知した。
全銀協は今後、具体的な接続実験を行い、システム障害などの問題がないと判断できた段階で正式決定する。接続が実現すれば、ゆうちょ銀の口座と銀行や信用金庫など他の金融機関の口座との間で直接振り込みができるようになり、利用者の利便性が向上する。
ゆうちょ銀の貯金の預け入れや引き出しについては、既に大半の金融機関のATM(現金自動受払機)でできるようになっている。しかし、相互に振り込みができるのはシティ銀行や新生銀行など個別に提携している一部の金融機関に限られていた。日本郵政は、全銀協の決済システムに接続するために自社システムの修正を進め、昨年10月の民営化を機に全銀協に接続を申し入れていた。
銀行などの間には、日本郵政を通して間接的な政府出資が当面残るゆうちょ銀との接続に「民業圧迫」と警戒する声も強かったが、全銀協が「消費者の利便性向上のためには接続は不可欠」と判断した。ただ、全国をカバーするゆうちょ銀の大規模なシステムと接続することで全銀協の決済システムに障害が起きないよう、接続実験で厳しく点検していく方針だ。【野原大輔】