【ジュネーブ大木俊治】国連貿易開発会議(UNCTAD)は2日、貿易と開発に関する05年版の報告書を発表し、世界経済の05年の成長率は04年より減速し約3%と予測した。04年の世界経済は3.8%と00年以来の高い成長率を記録。米国の好景気(成長率3%)に加え、中国(同9.5%)とインド(同6.7%)で需要が増えた1次産品の国際価格が上昇し、途上国が恩恵を受けたと分析した。
日本の成長率も04年は2.6%と00年以来の高い伸びを示した。しかし「いまだにデフレと格闘している」とし、05年の成長率は1.8%にとどまると見込んでいる。
05年は米国経済が活気を失う恐れがあると指摘。中国やインドも「先進国の経済水準に追いつくにはまだ遠い」として、世界経済の後退の危険を回避するには「日本や欧州の国内需要回復が必要」だと警告した。
米国の経常赤字など世界的な不均衡を是正するためには多国間の取り組みが必要だとして、中国の人民元を標的にした切り上げ圧力には批判的な立場を表明。石油価格上昇は、先進国では経済活動の縮小やインフレなどのマイナス効果は起きていないと分析している。
毎日新聞 2005年9月3日 2時00分