透明で曲げることができる高性能のトランジスタを、東京工業大の細野秀雄教授らのチームが開発した。従来の素材より電流をよく流し、軽くて壊れにくい。発光素子と組み合わせて、窓ガラスに張れる大きなディスプレーを作ったり、カーブを描くパソコン画面に応用したりすることが期待できるという。25日発行の英科学誌ネイチャーに発表する。
研究チームは、薄くて曲げられるプラスチックのフィルム上に「アモルファス酸化物半導体膜」という素材を使って、トランジスタを作ることに成功した。この素材は室温で加工でき、コストも安くすむという。
曲げられるトランジスタの開発では、炭素を含む有機物を材料にした研究が盛んだが、これより10倍以上、電流を通しやすく、実用化により近いという。
細野教授は「今後、耐久性などを大手メーカーとの共同研究で調べる。早ければ4~5年先の実用化を目指したい」と話している。
トランジスタは電流を流したり、止めたりするスイッチ役の電子部品。ガラスやシリコンの上に作る。近年、軽量で曲げられるディスプレーなどの実現を目指し、やわらかい素材を使った開発競争が世界的に盛んだ。
(11/25 06:13)