ニコンの子会社,ニコンカメラ販売(本社東京)は,1957(昭和32)年に発売した国産の距離計連動式レンジファインダカメラ「ニコンSP」を2500台限定で生産し,国内のみで発売する。付属するレンズ「W-Nikkor 3.5cm F1.8」も復刻し,セット販売する。希望小売価格は69万円(税込み72万4500円),受注期間は2005年1月14日から2月28日,販売時期は2005年3月18日以降。注文が多い場合は,抽選して購入者を決める。
「ニコンSP」は国産レンジファインダカメラの頂点として,精度の高さ,滑らかな操作感,優れた耐久性から,ニコン「F」などの一眼レフカメラが一般化するまで,多くの報道カメラマンや写真家に愛用された。全6種の交換レンズ(焦点距離 2.8/3.5/5/8.5/10.5/13.5cm)に対応する完全内蔵式ユニバーサルファインダは,多種類の交換レンズを使用した当時のプロカメラマンから高い評価を得た。
同社は,2000年記念モデルとして35mm距離計連動式レンジファインダカメラ「S3」を復刻したが,多くのファンから,「SP」復刻への要望があった。しかしユニバーサルファインダが複雑,精巧であるため現在の技術では再生産は不可能と言われていた。
ニコンは「S3 2000年記念モデル」の復刻で得たノウハウを活かして,発売当時と同様の丹念な手作業による工程を再現。完全内蔵式のユニバーサルファインダ,静粛性の高い最高速1/1000秒のフォーカルプレーンシャッタ,作動音までも忠実に再現するセルフタイマを実現した。なお,フィルムの規定枚数表示,感度表示など,現在の事情を考慮した改良点を除き,可能な限り忠実にオリジナルを再現した。
付属するレンズとして復刻した「W-Nikkor 3.5cm F1.8」は5群7枚構成,開放F値1.8の広角レンズ。コーティングだけは最新の多層コーティングとして光学性能を高めた。
2500台のカメラ本体には「SP 0001」~「SP 2500」,付属レンズ「W-Nikkor 3.5cm F1.8」には「0001」~「2500」の製品番号を刻印し,製品番号を,カメラ本体とレンズで一致させて納める。なお,製品番号1番(カメラが「SP0001」,レンズが「0001」)は,日本カメラ博物館へ寄贈する予定のため,販売台数は2499台になる。製品番号の指定はできない。 |