昨年6月に自ら命を絶った人気脚本家・野沢尚さんが最後に脚本を担当した映画「深紅」(月野木隆監督)が完成。試写会が1日、東京都内の劇場で開かれた。会場には主演の内山理名(23)、水川あさみ(22)らおもな出演者と監督が駆けつけ、上映前に舞台あいさつをした。
「深紅」は、家族を惨殺され、ひとり生き残った奏子(内山)が加害者の娘・未歩(水川)に近づいていき……という生と死について考えさせられるミステリー作品。原作小説も野沢さんが手掛け、吉川英治文学新人賞を受賞した。
野沢さんの指名だったという主演の2人は、映画のタイトルにちなんで赤いドレス姿で登場した。内山は「原作を読んで、何度かつらくて(読むのを)やめようと思った」と話すほど心理描写の難しい役どころを演じた。昨年夏に約1カ月間をかけて撮られた作品だが、内山にとっては、打ち合わせをした1週間後に野沢さんの訃報を聞き、その半年前には父が亡くなるなど「昨年の夏は生きること、死ぬことについて深く考えさせられた」と語った。
一方、殺人犯の娘という役柄を演じた水川は「野沢さんに完成作品を見せられないのが残念。野沢さんは真面目で熱い人という印象だった」と故人をしのんだ。また、バーで働いているという設定のため、カクテル作りなどを教室に通って練習したというエピソードを披露した。
その他、奏子の小学生時代を演じた堀北真希(16)や奏子のボーイフレンド役の塚本高史(22)、未歩の夫役の内田朝陽(23)などが出席した。
この作品は17日から東京・渋谷シネ・アミューズほかにて全国ロードショー公開予定。【細田尚子】
2005年9月2日