16世紀にスペイン人に滅ぼされたインカ帝国の神殿で有名なペルー・リマ郊外のパチャカマク遺跡でこのほど、15世紀以降にインカがこの地方を支配する以前の墓が発掘され、中からミイラ化した約40人の遺体が見つかった。
パチャカマクはスペイン人征服者の記録などを根拠に、インカによる支配の以前からアンデス文明の聖地と伝えられてきたが、この仮説を考古学的に補強する発見。謎が多い宗教都市パチャカマクの実像を知る貴重な手掛かりとなりそうだ。
03年から現地で発掘調査中のアンデス考古学の第一人者、島田泉・南イリノイ大(米国)人類学部教授が明らかにした。
墓は13-14世紀のものとみられ、直径2.2メートル、深さ1.2メートルの穴に、布やむしろで丁寧に包まれた約40体が埋められていた。これほど密集した埋葬は極めて珍しく、他の地方で死んだ人々が運ばれて葬られた可能性もあるという。(リオデジャネイロ共同)
毎日新聞 2005年9月15日 11時22分