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WTO:焦点の農業分野、日本には厳しい立場も 閣僚会議

世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)の閣僚会議が10~13日、スイスのジュネーブを中心に開かれる。焦点の農業分野では、一定の水準以下に関税を抑える上限関税の導入の是非などがテーマで、高関税の品目を多数抱える日本が厳しい立場に追い込まれる可能性もあり、12月の香港閣僚会議での大枠合意に向けたヤマ場を迎える。

 日本からは、岩永峯一農相と中川昭一経済産業相が出席する。

 まもなく交渉4年となる新ラウンドは、各国の利害が対立して7月末の合意原案づくりに失敗。9月に新事務局長に就任したラミー氏は「11月中旬までに閣僚宣言の第1次案をまとめなければ12月の香港での合意は困難」として、今月の交渉進展を呼びかけている。

 特に交渉が遅れているのは、食料輸入国と輸出国が激しく対立する農業分野。関税の引き下げ方式では、一般的な品目には現行の関税率に応じて4分類で削減率を決める階層方式を導入し、それ以外の重要品目は別な取り扱いで合意しているが、重要品目の決め方などで意見がまとまっていない。日本など食料輸入国は重要品目をできるだけ確保したい考えだ。

 上限関税の導入についても、米国は「原則75%以下」とすることを提案しているが、岩永農相は「絶対受け入れられない」との構えで、議論は平行線のままだ。

 一方、工業分野では、農業交渉で進展がなければ譲歩しないとするブラジルやインドなどの主張で足踏みしていたが、高関税ほど削減率が大きいスイス方式の支持が中国など各国に広がってきた。スイス方式をもとに先進国向けと途上国向けの二つの計算方法の導入で妥協できるかが焦点になる。【位川一郎、小島昇】

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