俳優の高倉健(74)が出演するNHKスペシャル「絆(きずな)~高倉健が出会った中国の人々~」(11月19日、後9・00)が放送される。主演映画「単騎、千里を走る。」(来年1月公開、監督チャン・イーモウ)の撮影現場を通じて、現代の中国を映し出す。高倉がドキュメンタリーに出演するのは珍しく、インタビューなども放送される。
高倉が同局のドキュメンタリー番組に出演するのは01年5月の「クローズアップ現代」以来。映画以外のメディア露出は珍しく、映画撮影現場での「人間・高倉健」を垣間見ることができる。
昨年11月から今年1月にかけて行われた中国ロケ中に、ハイビジョンで110件あまりのドキュメント映像を収録。自身の記録用に高倉が撮影クルーを入れ、チャン監督もメーキング映像を撮影していた。これに加えてNHKも撮影を希望し、今回の番組が出来上がった。
映画は、高倉が10年来の親交がある中国の巨匠とタッグ。日本人漁師が中国に渡り、出会った人々との交流を通して「絆」を見つめ直す物語。「本物の出会い」を仕掛けるため、中国側の役者はオーディションで選ばれた一般人を起用した。
「Nスペ」ではこれら現地の人々と高倉の交流を通じて、現代の日本と中国を浮き彫りにする。 反日デモに参加した学生と同世代の通訳役の青年、経済成長を遂げた社会の中で息子の将来のためにすべてを犠牲にした農民…映画にかかわったさまざまな人との出会いをクローズアップする。
現在、日本と中国は「政冷経熱」との言葉で表現されるなど、経済的な結びつきは強いが、政治的には冷えた状態。対照的に、高倉はNGを繰り返す“素人俳優”にも根気よく付き合い、国境を超えた絆を深めていったという。
制作を担当したNHKエンタープライズの玉置晴彦エグゼクティブ・プロデューサーは「人間・高倉健が中国の人々とぶつかって、そこから何が出てくるかを楽しんでほしい」と語っている。
≪過去には森光子、吉永小百合ら≫過去にNHKスペシャルに登場した大物俳優には森光子(85)らがいる。今年5月の放送で、タイトルは「森光子“放浪記”大いなる旅路」。単独主演公演回数を記録更新中の舞台「放浪記」と、70年の芸能生活を振り返る内容だった。吉永小百合(60)は原爆関連がテーマの放送で、ライフワークとしている原爆詩の朗読を行った。同番組は、社会、科学、自然など幅広いテーマで放送されるドキュメンタリー。俳優1人を取り上げたテーマは珍しい。
≪プロジェクトXは年内終了≫NHKは13日、人気ドキュメンタリー番組「プロジェクトX~挑戦者たち」を年内で終了させることを明らかにした。後番組として「プロフェッショナル 仕事の流儀」(仮称)を来年1月にスタートさせる。一流の仕事を極めた人々がテーマになるという。NHKは、一連の不祥事に対する改革姿勢を打ち出すため、番組の大幅改編へ向けた作業を進めている。