主要国首脳会議(G8)に参加する首脳らにアフリカの貧困撲滅を訴えて、日英米など9カ国で同時開催された地球規模コンサート「ライブ8」の模様が、11月にDVD化されることになった。世界的なチャリティー熱が後押しし、開催から4カ月でスピード製作。ポール・マッカートニー、マドンナ、U2ら計84組による夢の競演シーンが収録され、収益金はアフリカの貧困救済のために寄付される。
ライブ8は、首脳会議開幕4日前の7月2日にG8各国と南アフリカ共和国の計9会場で同時開催され、世界中継された。ここから計84アーティストによる120曲を選び映像化。メーン会場となった英ロンドンと米フィラデルフィアでのライブを中心に、のべ10時間分の演奏がDVD4枚に収録される。
参加した大物たちも、次々と商品化を許諾した。24年ぶりにオリジナル編成で再結成された伝説のロックグループ「ピンク・フロイド」は、ヒット曲「マネー」など5曲が収められ、これが復活後初の商品となる。また、ポールとU2による夢のコラボレーションも収録が実現。日本では中継されなかった7月6日の英エディンバラでの公演の模様も紹介される。
同コンサートは、アイルランドのロック歌手ボブ・ゲルドフがエチオピアの飢餓救済を訴えて85年に開催したイベント「ライブ・エイド」の21世紀バージョン。貧困で3秒に1人、子供が命をなくしている現状を打破しようと、20年ぶりに世界の音楽界が立ち上がった。G8直前に各国の首脳らに窮状を訴えるため、観覧希望者には募金も義務づけられた。ライブの収益金はアフリカ貧困救済のために寄付された。これと同時期に貧困救済の意思を白いリストバンドで示す「ホワイトバンド」ブームが起き、世界的にチャリティーが盛り上がっていた。
この流れに乗って、DVDも製作に至った。発売日は全世界で11月7日、日本では同9日。同様にスーパースターが結集した「ライブ・エイド」は、権利関係上の問題などからDVD化まで19年かかっており、今回は異例のスピードといえる。世界発売元の英EMIは、収益金を全額寄付する方針。日本では、発売前日の11月8日にDVDでは異例の試写会が東京・有楽町の丸の内ピカデリー2で行われる。