岡山国体秋季大会最終日の27日は、陸上ハーフマラソンの成年男子を佐藤智之(宮崎・旭化成)が1時間2分53秒で制し、成年女子は昨年の埼玉国体で2位だった寺田恵(兵庫・関学大)が1時間11分42秒で優勝した。成年女子には92年バルセロナ五輪マラソンで銀、96年アトランタ五輪で銅メダルを獲得した有森裕子(岡山・リクルートAC)と00年シドニー五輪マラソン7位の山口衛里(岡山・天満屋)がオープン参加。有森が1時間21分56秒で参加者中6位、山口は1時間26分57秒で18位だった。ラグビーは成年男子を三重、少年男子を大阪が制した。
男女総合優勝(天皇杯)、女子総合優勝(皇后杯)は、ともに地元の岡山が初めて獲得。開催都道府県の優勝は3年連続となった。
◇目標下回る記録に「ブランクを実感した」 有森
わずか半分の距離が遠く、苦しい。陸上の成年女子ハーフマラソンにオープン参加した有森。目標としていた1時間15分を6分以上下回るタイムに、「ブランクを実感した。基礎体力が落ちている」と顔をしかめた。
沿道から送られる声援。手を振りながら白い歯を見せていたが、やがて笑顔も引きつってきた。何とかゴール。拍手に応じようとした両手が上がらない。「甘くなかった」と苦笑いした。
01年11月の東京国際女子マラソン(10位)を最後に一線を退いた。3年間は国連親善大使などの活動に集中してきたが、「引退レースを」と決意。今年1月に練習を再開し、7月には豪州でのハーフマラソンに出場した。9月からは自宅のある米国コロラド州ボルダーで高地トレーニングに入ったが、腰を痛めて「半分が治療院通いだった」という。
来秋にも予定する“最後の花道”へ向けての試運転。タイムは不満だったが、走る喜びの実感は取り戻しつつある。岡山・就実高、日体大時代は無名で、これまで国体とは縁がなかった。地元での初体験に「高校時代から国体選手はあこがれだった」と目を輝かせた。
「戻って来た以上は、自己ベストを目指す」と、6年前のボストンマラソンで記録した2時間26分39秒の数字を掲げた。来年には40歳となる。実現は困難だろうが、努力は惜しまない。それが有森裕子だ。【堤浩一郎】
○…ハーフマラソンにオープン参加したシドニー五輪7位の山口は、今春から岡山県立短大で健康体育を学んでおり、「学校に行く前と休日に、少し走っている程度」という。ハーフは一昨年11月の神戸全日本女子以来で、オープン参加者中18位のタイム。それでも沿道からの声援に「まだ忘れられていなかった。すごく楽しかった」と、笑顔を見せた。