空前の大混戦だ。J1第29節最終日は、30日行われ、首位・G大阪はアウエーでFC東京と対戦し1-2で逆転負けを喫して2連敗。開始1分でDFシジクレイ(33)が先制点を挙げたが、前半終了間際に同点とされると後半26分にMF今野泰幸(22)に勝ち越しゴールを許した。C大阪と0-0で引き分けた2位・鹿島に勝ち点1差に迫られ、残り5節で勝ち点5差に5チームがひしめく状況。優勝争いが一気に混とんとしてきた。
【G大阪1-2FC東京】タイトルの行方は全く分からなくなった。終了の笛が響くと、スタンドで見守っていた浦和・ブッフバルト監督の顔には自然と笑みがあふれた。勝ち点差は4だが、次節G大阪と対戦する3位の浦和にとっては願ってもない結末だ。
11月5日のナビスコ杯決勝に備え通常よりも多いスタッフを派遣していた千葉も大きな収穫を手にした。首位と5差とはいえ浦和、G大阪との対戦を残している。逆転優勝は現実味を帯びてきた。ナビスコ杯との2冠も夢ではなくなった。
ほくそ笑むライバルチームのスタッフとピッチ上で肩を落とすG大阪イレブン。そのコントラストが空前の混戦を表していた。
「本当にチャンピオンを目指しているチームとは思えない。やられるべくしてやられた」と西野監督。開始1分の右CKでシジクレイが豪快なヘッドを決めたが、得点はそのセットプレーからだけ。高い位置から積極的な守備を仕掛けてきた相手DF陣に自慢の攻撃陣が分断された。不調で11試合ぶりにスタメンを外れたFW大黒を後半から投入したが、流れは変わらない。スコアこそ1-2ながら、シュート数は11-22。前節まで28試合30得点だったFWアラウージョはシュートなしに終わり、攻撃サッカーのお株を完全に奪われた。
大黒は「負けたのはしようがない。今まで続けてきたことをやり続けるだけ」と強気だったが、周囲も前線の不調は感じている。MF遠藤は「相手に慣れられているのもあるし3人が崩れているのもある。お互いの距離を縮めたらいい」と連係再確認の必要性を強調した。首位には踏みとどまったが一寸先は闇。王手をかけたナビスコ杯同様、リーグ制覇の見通しまで不透明になってきた。
≪仲良しコンビで首位撃破≫私生活でも仲がいい馬場と今野のMFコンビがアベックゴールでFC東京が首位を撃破。前半44分に馬場が25メートルのミドルシュートを決め同点とすると、後半26分には混戦から今野が左足で押し込んだ。勝ち越し弾の後には2人そろって両手でVサイン。歌手・大塚愛のDVDをまねたパフォーマンスに「得点したら一緒にやろうと話していた」と馬場。チームをJ1残留へ大きく前進させた2人に原監督も「刺激し合っているね」と満足げだった。