4日午後10時40分ごろ、長崎県対馬市美津島町の宅地造成地の道路のり面で、近くに住む県立高校1年の男子生徒(15)が道路横のガードパイプにロープをかけ、首をつっているのを知人が発見した。男子生徒は病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。自宅の部屋に遺書のようなメモがあり、県警対馬南署は自殺とみて調べている。長崎県内では中高生の自殺とみられる死亡が相次いでおり、今年7月以降に7件が集中する事態になった。
調べでは、男子生徒は同日午後9時ごろに1人で外出し、家族らが捜したところ、自宅から約100メートル離れた現場で発見された。メモには友人関係の悩みなどが書かれていたという。
生徒の通学先の教頭は「生徒はリーダーシップがあり、学級委員をしていた。成績もいい。いじめは聞いていないし、教員の体罰もなかった」と話した。同校は5日午前9時から全校集会を開き、校長が生徒約720人に経緯を説明し、全員で黙とうした。同日は授業はとりやめ、全校集会後は学年集会、ホームルームをした。
長崎県内では今年7~9月、中学生男女それぞれ1人▽高校生男女それぞれ2人--の計6人が死亡した。県教委は「関連はなく、いじめや体罰が原因ではない」とする一方、9月20日には市町村教委と県立高校、盲・ろう学校に「命を大切にする教育の一層の充実」を求める通知を出した。
文部科学省によると、昨年度の中高校生の自殺者は、前年より11人少ない121人。ここ10年ほどは横ばいだが、ピークだった79年の約3分の1に減っている。警察庁は原因について統計を取っているが、家庭や学校に問題があったとしたのは2割以下で、約6割は不明も含む「その他」になっている。
九州・山口各県の今年に入っての中高校生自殺者は▽鹿児島、山口が4人▽熊本3人▽福岡2人▽宮崎1人▽佐賀、沖縄、大分0人--で、長崎の7人が最も多い。過去3年で、年間の自殺者が最多だったのは、福岡、宮崎の8人(02年度)だが、約3カ月間に7件が相次いだ今年の長崎の多さがが目立っている。