マイクロソフト(MS)は7日、IT教育環境の整備や人材育成を支援するため、教員志望者へのITスキルアッププログラムの提供などのプログラムを発表した。
ダレン・ヒューストン社長は、産学連携で先端技術の共同研究と人材育成支援▽ITに興味を持つ学生に、プログラミングなどの習得や交流の機会を提供▽教育へのIT活用の推進--の3点に取り組むことを明らかにした。
具体策として、MS産学連携研究機構での東大、早大などとの共同研究を拡大。東大・早大の4人の学生に奨学金を授与し、MSの研究機関で3カ月間のインターンシップを行う。また、プログラミング言語のオンライン学習を実施、大学でのセミナーや世界規模の技術コンテスト「イマジンカップ」などを開催する。
また、教育現場でのIT活用の推進策として、国立大学教育実践研究関連センター協議会にICTスキルアッププログラムを提供、トレーナーを派遣し、秋田大、鹿児島大、信州大など13大学で教員志望の学生を対象に研修を実施する。さらに東大、筑波大、慶応大など8大学の情報担当理事などで「大学CIOフォーラム」を開き、大学におけるIT投資のあり方を議論。18日に第1回の会合を開き、資料や論文のデジタル化、予算や管理についてなど、ITに関する各大学共通の課題を議論する。来春には第2回フォーラムを開き、大学のITガバナンスについての提言を行いたいとしている。
ヒューストン社長は、学校教育でのIT活用について「東京大と連携して新しい教育環境を開発し、それを小中高校まで広げるなどの取り組みをしたい」と意欲を示し、ヒューレット・パッカード、NECなどの企業やNPOと協力し、IT環境を整備したモデル校の設置計画を明らかにした。大井川和彦・公共インダストリー統括本部長は「単に連携するだけでなく、私立校への投資や新しい学校の設置などを模索したい」と述べた。
◇教員志望学生のITスキルアッププログラム
同社は2004年から、ICT教育推進プログラム協議会(会長、清水康敬・メディア教育開発センター理事長)と連携して現職の教員を対象にIT研修を行っており、さらに教員を志望する学生に対してもITの利活用を教える必要があるとして、全国52大学が加盟する国立大学教育実践研究関連センター協議会にICTスキルアッププログラムを提供、同社からトレーナーを派遣するなど担当教員のサポートを行なう。対象大学は秋田大、鹿児島大、信州大など13大学で、各大学ではカリキュラムに組み込み、計9200人の学生を対象に研修を行う。
また、校長、教頭を対象としたICT研修や、ICTを活用した授業案やコンテンツを共有するための教員ネットワーク作り、パソコン検定協会と「パソコン検定試験」の公式テキストの共同制作--などにも取り組み、来年3月に発売する計画だ。【岡礼子】