北京国際マラソンは16日、北京で行われ、男子はベンソン・チェロノ(ケニア)が優勝した。
チェロノは終盤トップを独走。ゴール手前でコースを間違え、2時間6分台でゴールした。本来なら失格となる違反行為だったが、大会本部は数百メートルとみられる距離の不足分を走った場合の想定タイムを加えた参考記録(2時間9分15秒)で優勝とした。
日本勢は中崎幸伸(トヨタ自動車九州)が2時間12分29秒で3位になったのが最高だった。
女子は孫英傑(中国)が2時間21分1秒で4連覇を達成。小尾麻美(スターツ)が2時間32分36秒で8位だった。孫は2002年大会で2位だったが、後に優勝した魏亜楠(中国)が薬物違反で失格となり、1位に繰り上がっている。(北京共同)
◇コース間違え、「ずさんな運営」露呈
16日に行われた北京国際マラソンで、北京の大会本部はゴール手前で近道したベンソン・チェロノ(ケニア)を優勝とする“前代未聞”の決定を下した。
同選手の前を行く先導車がコース通りに走らなかったために起きたハプニングで、選手自身に過失はないと判断したためだが、中国としては五輪開催を控えながら国際大会での「ずさんな運営」(競技関係者)を図らずも露呈した形だ。
ハプニングが発生したのはゴール手前。大会本部関係者によると、同所では一度脇道に入り、再び折り返してもとの道に戻るコースが設定されていたが、脇道の道幅が狭かったために先導車が入れなかった。先導車はあきらめて直進、距離にして約800メートルのコースを“省略”したという。
さらに競技関係者を驚かせたのは、チェロノの優勝タイムの決め方だ。大会本部関係者は記者会見で、同選手が距離の不足分を走っていた場合の想定タイムをはじき出し、チェロノがゴールしたのは2時間6分55秒だったが、最終的に「2時間9分15秒」を“記録”としたと発表。各国選手団からは「見たことも聞いたこともない話」などの声が漏れた。
日本選手団関係者の一人は「先導車でトラブルが起きたのだから、どう考えても大会本部の不手際だ」と話したが、中国メディアは16日午後までに、大会本部の運営を批判するニュースを報じていない。(共同)
▽男子 (1)ベンソン・チェロノ(ケニア)2時間9分15秒=参考記録(2)モイベン(ケニア)2時間12分15秒(3)中崎幸伸(トヨタ自動車九州)2時間12分29秒(4)福永晃大(トヨタ自動車九州)2時間13分52秒(5)梅木蔵雄(中国電力)2時間14分5秒(6)大西雄三(日清食品)2時間15分3秒(8)鬼塚智徳(九電工)2時間15分38秒
▽女子 (1)孫英傑(中国)2時間21分1秒(2)周春秀(中国)2時間21分11秒(3)孫偉偉(中国)2時間27分35秒(8)小尾麻美(スターツ)2時間32分36秒(共同)