JR福知山線脱線事故を受けて安全基準の見直しを行っている国土交通省の「技術基準検討委員会」は25日、鉄道事業者にATS(自動列車停止装置)を、分岐器(線路のポイント)の手前に設置するよう義務付ける方針を固めた。事故後、急なカーブ手前に速度超過防止用としてATSを設置するよう緊急通達を出し、各鉄道事業者で進めている。同省は分岐器前も含めた新たなATSの設置対象範囲を来月にも公表する。
検討委は6月以降、事故を踏まえた技術基準の見直しを進め、この日中間とりまとめ案を協議。ATS設置のほか、自動車の「タコグラフ」のように列車の走行状況を記録する装置の開発促進などを盛り込んだ。
事故現場のATSには速度超過防止機能がなかった。このため同省の航空・鉄道事故調査委員会は9月、カーブでの速度超過を防止することを提言するとともに、分岐器についても検討するよう求めていた。
一方、急カーブの手前で速度超過を防ぐためのATSシステムの改良については、同省がこれまでに鉄道事業者に対し緊急整備を指示、対象となった49社は2865カ所を整備している。【長谷川豊】