東京国際映画祭のオープニング作品「単騎、千里を走る。」のチャン・イーモウ監督と主演の高倉健が22日、世界初上映を前に同映画祭会場・六本木ヒルズで会見。「HERO」「LOVERS」で知られる中国の巨匠・チャン監督は高倉を「私の20代の時のアイドル」と絶賛、高倉も「50年の節目で神様のくれたボーナス」と語った。
「単騎、千里を走る。」は、「三国志」に由来する仮面劇の演目名で、余命いくばくもない息子の代わりに中国に仮面劇を撮影しに行った主人公が、旅の中で中国のさまざまな人々の人情に触れ、親子とは、家族とは、を考えさせられるという物語だ。
チャン監督は「28年前に高倉さんの映画を見てからのファン。高倉さんを中国に連れてきて映画を作るという長年の夢が実現した」と笑顔。高倉も「来年が俳優になって50年の節目の年。そんな時にこんな素晴らしい監督と仕事ができて、神様がくれたボーナスのよう」と監督をたたえた。
撮影は、中国雲南省と秋田で行われた。中国ロケについて高倉は「標高の高いところで、空気が薄いのと乾燥しているのがつらかった」と苦労話を披露。当初、高倉はタイトルにちなんで単身で中国に行こうと思ったそうだが「結果的にはスタイリストとヘアメークも一緒に行った」とユーモアを交えながらエピソードを語った。映画祭での世界初公開に「大変興奮している。3時間しか寝ないくらい働き者の監督で、私には子供がいないがこういう子がいたらよかったと思う」とほおを紅潮させながら話した。【細田尚子】