巨人を自由契約になった清原和博内野手(38)が、ヤクルトに自身の獲得を打診していることが1日、明らかになった。既にオリックスなどが清原獲得に名乗りを上げているが、清原本人は在京セ・リーグ希望。来季の巨人との対戦を見越して移籍の道を探っている。しかしヤクルトは古田敦也新監督(40)の下、チーム若返りを図っており、受け入れるかは微妙な情勢だ。
同じ東京に本拠を置くチームに。巨人を去る清原が、移籍希望先として挙げたのはヤクルトだった。清原に近い関係者は「希望は(相手側に)伝えている」とし、関係各所を通じ、既にヤクルト側に移籍したい旨を打診しているという。
今年まで巨人に9年間在籍。清原は慣れ親しんだセ・リーグ、それも在京でのプレー続行を希望している。最大の理由は巨人への“リベンジ”。8月下旬、球団側に右ひざ手術決定の報告をした際に、本人は「契約してもらえると思っていた」という。それがよもやの戦力外通告。「まだプレーできる」ことを証明するには、巨人を相手に戦って結果を残すのが一番の近道。そのために年俸など条件面でも大幅な譲歩の姿勢を見せている。
清原の今季の推定年俸は3億6000万円。ヤクルトへの打診に際しては、この額の約4分の1となる1億円以下まで条件を下げているという。マイナス分は出場試合数、打率、本塁打などによるインセンティブで補いたい意向のようだ。神宮球場は昨年6月4日に2000本安打を達成した思い出の球場。両翼も狭く、故障さえなければ今季の22本塁打を上回ることは十分に可能だ。
巨人は本人の意向を尊重し、交渉に関しては清原サイドに任せている。移籍が実現すれば来季の巨人-ヤクルト戦は目玉カードともなるが、ヤクルト側が清原の申し出を受け入れるかは微妙な情勢だ。40歳の古田新監督を迎え、チームは若返り策を進める方針。清原獲得は人気面では捨てがたい魅力があるが、古田監督のチーム編成プランにそぐわなければ清原の“片思い”に終わる可能性が高い。
現時点で明確に獲得の意思表示をしているのはオリックスのみ。10月13日に行われた交渉の際には、清原は中村監督に対して「ありがとうございます」と返事をしている。ヤクルト移籍が実現しなければ、最終的にはオリックスでプレーすることになるのが濃厚だ。人生の岐路の決断。本人は「時間をかけて考えたい」との意向を周囲に漏らしており、清原の新天地探しの旅はまだまだ時間を要しそうな気配だ。
≪ヤクルトは獲得に否定的≫ヤクルトの倉島今朝徳専務(65)は、清原獲得について「私は聞いたことはありません」と話し、現時点で獲得する可能性についても「ありません」と否定的な見解を示した。
今季限りで退任した若松勉前監督(58)は、先月11日の退任会見で「今のチームにはパワーのある選手が必要」と話し、堀オーナーへパワーヒッター獲得の必要性を訴えた。その後、同18日に古田監督が就任を発表したが、チーム方針として世代交代を図っている上、「複数のポジションを守れる選手を」とユーティリティープレーヤー育成を掲げている。パワーヒッターの必要性には迫られているが「古田ヤクルト」の構想に清原の特性は生かせないとの見方が強く、獲得まで至るかは微妙な情勢だ。
≪オリックス 交渉進まず≫清原獲得を狙うオリックスは9月下旬に当時の仰木監督(現SA)が東京都内で極秘接触。10月13日には中村新監督が同じく都内で会談し、熱意を伝えた。その後は日本シリーズに配慮して終了後に交渉再開するとしていたが、現段階では全く進展していない。小泉球団社長は「早く交渉するチャンスがあったらいいのですが…」と早期の実現を願うが、日程すら決まらないのが現状だ。