東京三菱銀行は来年1月、シンガポール、ジャカルタ、バンコクの東南アジア3拠点に中堅、中小企業の進出を支援する担当課を新設する。来年1月のUFJ銀行との合併で関西や東海地方の中小企業との取引が大幅に増えることを受けて、現地での支援体制を強化し、取引先の拡大につなげたい考え。ラブアン(マレーシア)とホーチミン(べトナム)にも専任担当者を配置し、日本人と現地スタッフ計50人強が中小企業支援に当たる。
邦銀は97年のアジア通貨危機や不良債権処理費用の増大に伴い、東南アジア業務を縮小させていた。だが、業績が回復している日本企業は新たな生産拠点や市場としてアジアへの関心を高めている。このため、国際部門が充実していない中小企業を対象に現地での支援体制を強化すれば、取引先の拡大につながると判断した。
シンガポールなどに新設される担当課は市場調査、各国の規制・税制調査、現地法人設立、事業拡大や撤退など、中小企業が進出先で直面するさまざまな問題を支援する。同行とUFJ銀行は10月から、国内の法人向け支店に東南アジアの情報提供や進出相談を受ける「ASEANデスク」を開設しており、国内と現地双方で取引先を支援する。
東南アジアの拠点に中小企業担当課を設置するのは、大手行では初めて。みずほフィナンシャル・グループや三井住友銀行も現地進出の支援を手掛けているが、大企業に強い東京三菱銀がUFJ銀との合併を機に中小企業への攻勢を強めることで、海外での取引先獲得競争は激しくなりそうだ。【塚田健太】