【クーサモ(フィンランド)武藤佳正】ノルディックスキー・ジャンプのワールドカップ(W杯)開幕2連戦(25、26日)のメンバーからW杯日本人最多タイ15勝の船木和喜(フィット)が外れた。海外デビューの開幕戦初優勝を果たした94年以降、開幕メンバー落ちは初。3大会連続五輪出場を目指す長野五輪金メダリストは「数を飛べるチャンスをもらった。調子を100パーセントに近い状態にしたい」と前向きに受け止める。
2月にトリノ五輪を控える今季、「世界一美しい」と呼ばれた低い飛行姿勢ではなく、従来よりも高く飛び出すジャンプに取り組んでいる。22日のジャンプ(K点120メートル、HS142メートル)トレーニング。他の日本選手が130メートルを超えるなか、110メートル付近にとどまった。18歳竹内択(飯山ク)、桜井一欽(雪印)とともに、6人のメンバーから漏れた。
カリ・ユリアンティラ・ヘッドコーチは「名前で選ばない。飛距離が足りない。踏み切りのタイミングが遅く、キック力が欠けている」と、船木に厳しい評価を下した。
ただ、格下のコンチネンタル杯への転戦が決まったわけでない。2連戦後の当地でのトレーニング状況次第では、ノルウェー・トロンヘイムで12月3、4日に開かれるW杯第3、4戦のメンバーの可能性を残している。
W杯メンバー入りに向け、船木はフィンランド・ロバニエミでトレーニングに励む。「初心に帰って、海外を回れるだけでもうれしかった時を思い出してやりたい。踏み切りのタイミングが合えば、パワーは伝えられるようになる」と話す。
毎日新聞 2005年11月24日 13時43分 (最終更新時間 11月24日 13時49分)