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映画ひとこと百言:「ホテル・ルワンダ」

作者:未知  来源:每日新闻   更新:2005-11-9 1:07:00  点击:  切换到繁體中文

 ◇ネット署名運動が後押し、年明け公開決まる

 2月に発表された米アカデミー賞で、脚本、主演男優、助演女優の各賞にノミネート、昨年のトロント国際映画祭でも観客賞を受賞するなど高い評価を受けている映画「ホテル・ルワンダ」の日本公開がようやく決まった。正月第2弾として、東京・渋谷の「シアターN渋谷」で1月以降上映される。

 アフリカ・ルワンダで1994年に実際に起こったジェノサイド(虐殺)の中で、家族を守り、1200人もの人々の命を救ったホテルマンを主人公にした実話の映画化。日本の配給会社はその高額な買い付け料と内容が深刻などの理由から配給を見送り、お蔵入り、という声さえささやかれていた作品だ。

 しかし、インターネット上で今年6月、この映画の「日本公開を求める会」(現在は「日本公開を応援する会」)が結成され、7月1日から署名運動を展開。その活動がいくつかのメディアにも取り上げられ、右肩上がりに署名数が増えて、配給を決めたメディアスーツ社から同会に配給の連絡がきた9月28日時点で署名数は4100件前後に達した(その後10月15日までに4595件)。

 映画業界関係者によれば、この作品の海外配給権を持つライオンズ・ゲート社の当初の配給権料は高額で、当初から「利益が出る価格ではない」とされ、アカデミー賞ノミネートなどでハクがつき、どの配給会社も手が出せない状態だったという。この夏、同社は日本の配給会社向けに売り込みを行い、価格を当初の買い付け料金(1億円とも言われる)から値下げした。ちょうど、求める会のネット上での署名運動による盛り上がりともタイミングが重なり、一気に配給が決まる形になった。

 メディア・スーツ社は配給を決めた理由について「家族愛など多くの人に感動を与える質の高い映画であり、ネット上での上映運動の盛り上がりも決定の大きな要因になった」と話し、同会の署名活動が公開決定を大きく後押ししたとしている。

      --- ◇ --- ◇ ---

(C)2004 Kigali Releasing Limited. All Rights Reserved.

 ネットでの活動は、高校生の時に新聞などでルワンダの虐殺事件を知って衝撃を受け、大学時代に実際にルワンダの土を踏んだこともある都内に住む、アルバイト、水木雄太さん(同会代表)の「この映画がスクリーンで見たい」との強い思いから始まった。もともと、大の映画ファンで、映画業界で働いたこともあり「どうして公開しないのか」という気持ちが強くなっていったという。

 水木さんは5月ごろに配給会社などに公開の有無を聞いてみたが、めどが立っていないことを知った。そこで、6月前半にソーシャルネットワーキングサイト「MIXI(ミキシー)」に自分の考えを書き込んだところ、賛同者が相次ぎ、6月24日には「ホテル・ルワンダ日本公開を求める会」のホームページをオープン。7月1日からは、署名運動で同様の声を結集させることにし、同24日からは電子署名も受け付けるなど、その運動の輪を広げていった。

 水木さんは「驚くほど多くの人が賛同してくれた。一部の映画評論家やメディアが取り上げてくれて、急速に賛同者が増えていった。その結果、10月末を区切りに署名を配給会社に持っていこうと考えていた」と当時を振り返る。

 メディアスーツから連絡があった時は「うれしかった。署名活動も公開決定のプラスになったと聞き、署名に賛同してくれた方への感謝の気持ちでいっぱいだった」と話す。同会のメンバー数人は、すでに英語版をDVDで観たが「期待を裏切らない素晴らしい作品。署名活動は当初「自分が見たい」という発想から始めたが、今は一人でも多くの人に見てもらいたい」と作品の出来に太鼓判を押す。

(C)2004 Kigali Releasing Limited. All Rights Reserved.

 水木さんは「確かに大虐殺を背景にしているが、ラブストーリーであり、家族愛のドラマでもある」とヒューマニティーあふれる作品として、「固定観念を捨てて、映画館に足を運んでほしい」と政治的、社会的側面だけでなく、万人に受ける感動作であることを強調する。

 ネットを中心にした署名活動が、劇場公開を後押しする結果になった同作品。映画ファンの声が業界の重い腰を動かし、社会派・虐殺・アフリカといったこれまでヒットには結びつきにくにとされてきたテーマの作品が、こうした活動のサポートも得て公開される。「多くの人に見てもらいたい」という熱い思いは実ることになった。それ自体「前例はあまりないこと」のようだが、その結果は、今後のこうした活動の試金石になるかもしれない。

 <あと一言>

 今回の署名運動の報道の中で、アカデミー賞ノミネートの作品を配給しないのは全くおかしいとか、アカデミー賞ノミネートならば傑作などという、一方的な指摘が散見された。「ホテル・ルワンダ」のように、ノミネートもしくは受賞しても公開されない作品はいくつかあり、その原因を配給会社だけに押し付けるのはいかがかと思う。また、米アカデミー賞が一般ファンの作品選びの一つの大きな要素であることは否定しないが、=(イコール)傑作という思い込みを振りかざす指摘にはあきれるばかりだ。

(正月第2弾として東京・渋谷のシアターNでロードショー公開の予定)

【鈴木 隆】

「ホテル・ルワンダ」

2004年/南アフリカ、イギリス、イタリア映画/122分/メディア・スーツ配給

 監督・脚本:テリー・ジョージ

 出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス

「ホテル・ルワンダ」日本公開を応援する会
http://rwanda.hp.infoseek.co.jp

メディア・スーツ
http://www.mediasuits.co.jp/


 

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