中央省庁が外部委託する事業の多くが入札なしの随意契約で発注されている問題で、省庁OBの天下り先となっている公益法人が05年度に受注した契約件数の94%は、競争相手を探す努力が足りないなど不適切な契約だったことが明らかになった。財務省が13日、随意契約見直しへ向けた関係省庁連絡会議に調査結果を報告。公益法人以外の天下り先を加えても、不適切な契約は8割近くに上り「お手盛り発注」の実態が鮮明になった。連絡会議では、約3万件の随意契約のうち約2万3000件を競争入札などに切り替える方針を決めた。
調査は各省庁が所管しOBが再就職している公益法人、独立行政法人、民間企業が昨年度に受注した100万円以上の委託契約が対象。
省庁の委託事業は、原則として一般競争入札による発注が義務づけられているが、特殊な技術が必要なケースなどは随意契約も認められている。
調査結果では、随意契約の2万9631件、2兆1743億円のうち、競争入札にすべきだと判断されたものが2万2788件、1兆4584億円あり、件数で77%、金額で67%を占めた。
また、公益法人に限定すると、1万1520件(3918億円)のうち1万861件(3635億円)が不適切とされ、件数で94%、金額で93%に上った。
随意契約が適切とされたのは、貨幣製造や米国からのライセンス生産をしている国産戦闘機など、受注可能な企業が明らかに限定されるケースがほとんどだった。
13日の連絡会議で各省庁は、競争入札への転換のほか、特殊な技能が必要とされる契約についても発注内容を公開し、受注を希望する企業を公募することなどを申し合わせた。応募企業がなく、随意契約にせざるを得なかった場合でも、発注先企業と省庁との天下りの有無を公表するなど、透明性を高める。
政府関係者は「なれ合いで結ばれてきた随意契約は原則、全廃する。実力のない法人は受注できなくなり、契約金額も節減が期待できる」と強調している。【古田信二、小林多美子】
毎日新聞 2006年6月13日 11時24分