○ソフトバンク5-1楽天●
ソフトバンクは斉藤和が九回途中まで1失点の力投で、ハーラートップタイの9勝目。打線は五回にズレータのソロで先制。その後も大村のソロなどで着実に加点した。楽天はグリンが中盤つかまり、九回の反撃も及ばず連勝は3で止まった。
▽ソフトバンク・王監督 グリンはよかったが、ズレちゃん(ズレータ)が一発打ってくれたね。あれから打線がつながった。ここで楽天の勢いを止めておかないと。頭を取れたのは大きかった。
▽楽天・野村監督 最後(九回の反撃)は焼け石に水だった。まるっきり負けるよりはいいが。グリンは五回まではよかったが、それ以上に今日の斉藤和は(攻略の)糸口が見つけにくかった。
◇防御率1点台の安定感、斉藤和
よほど自分に腹が立っていたのだろう。お立ち台でインタビューに答えるソフトバンク・斉藤和の顔は、その場に似つかわしくないぶぜんとした表情。「最後はちょっと情けなかったけど……勝ててよかった」。しかしその内容は、好調・楽天を向こうに回し、十分に胸を張れるものだった。
杉本投手コーチが「切れも悪かったし、逆球も多かった」と評した通り、出来は必ずしもよくなかった。それでも緩急で打たせて取る投球に切り替え、二回は9球、三回はわずか7球で3者凡退。六回2死まで1本の安打も許さなかった。敵将・野村監督も「グリンもよかったが斉藤はそれ以上。今日は(攻略の)糸口が見つけにくかった」と嘆くしかなかった。
パ公式戦の再開初戦は6月を11勝7敗とリーグトップの成績で戦い抜いた楽天との対戦。しかも、4番・松中が体調不良で欠場した。この大事な試合を託した王監督は「今日はどうしても勝ちたかった。(斉藤)和巳の性格からして、いつも以上に気合が入ったと思う」。その期待通り、楽天のスコアボードに「0」を並べ続けた。
球数が100球を超えた九回、完封を目前にしてバレントに四球、フェルナンデス、山崎武の連打で1点を失い降板。これが「情けない」と罪悪感を負わせた。だが、杉本コーチは「試合をしっかり作れるのが和巳の優れた部分」とたたえ、防御率はついに1点台に。この安定感は、ソフトバンク最大の強みだ。
【錦織祐一】
○…ソフトバンクの先制点は、今季初めて4番に座ったズレータのバットから生まれた。五回、ここまでパーフェクトピッチの楽天・グリンの143キロの速球をうまく流し打ち、チーム初安打となる14号ソロを右中間に運んだ。「後半戦のいいスタートを切るために、今日の試合で必ず結果を出そう」と意気込んだ結果。六回の好機にもきっちり中犠飛を打ち上げて3点目をたたき出し、体調不良で欠場した松中に代わって中軸の重責をしっかり果たした。
○…交流戦期間中に入団した楽天の新外国人グリンは、パのチームと初対戦。最速148キロの速球と変化球の緩急でソフトバンク打線を抑え込み、四回までパーフェクト。杉山投手コーチも「制球、球威、切れともこれだけいいのは初めて」と絶賛した。だが「三振が多いのが逆に心配」(同コーチ)との予感が的中し、五回に許した初安打がズレータのソロ。六回にも3連打と犠飛で2点を失ったが、本人は「大量点を与えず、最低限の仕事はできた」と手応えを感じた様子だった。
毎日新聞 2006年6月23日 21時22分 (最終更新時間 6月23日 23時31分)