【ジュネーブ安間徹】サッカーのワールドカップ(W杯)に出場する各国が31日、各地で親善試合を行い、当地ではイタリアとスイスが1-1で引き分けた。フランスはアンリの活躍などでデンマークに2-0で勝利。イランは、日本が2月に引き分けたボスニア・ヘルツェゴビナに5-2で勝った。
◇トッティの復活がカギに イタリア
イタリアは大会直前の強化試合は2試合に絞っている。初戦のスイス戦で決めた得点は、ジラルディノが前半11分にワンチャンスを生かした1点のみ。その後は受け身に回って追いつかれた。内容的には乏しかったが、2月に左足首を骨折していたトッティが復帰後初めて先発し、フル出場したことが数少ない収穫だった。
リッピ監督はジラルディノがトップ、トッティとデルピエロが2シャドーとなる4-3-3の布陣を用いた。トッティは5月前半に所属クラブのローマで復帰戦を2試合戦っただけ。ともに途中出場だった。普段は試す機会がないこの組み合わせからは、同じ司令塔タイプのデルピエロを同時起用することで、トッティへの負担を減らそうという親心が垣間見えた。
試合でのトッティは平凡なミスが目立ち、実戦感覚が戻っていないことは明らかだった。だが、指揮官が「スイス戦はフル出場させ、(中1日となる)2日のウクライナ戦は時間を限りたい」とトッティ復活へ向けた計画を予告していた通り、最後まで我慢して使い続けた。
ユベントスの幹部が審判に有利な判定を強要したとする八百長疑惑に端を発したイタリア1部リーグ(セリエA)での一連の不正行為疑惑は、リッピ監督やGKブフォンが事情聴取を受けるなど、イタリア代表に暗い影を落としている。「足首は完全に治っている。あとは勘を取り戻すだけ」というトッティが、重いムードを変えることができるか。【安間徹】
毎日新聞 2006年6月1日 9時39分