政府は6日午前、首相官邸で海外経済協力会議(議長・小泉純一郎首相)を開き、凍結状態だった05年度分の中国向け円借款を約740億円として解除することを決めた。与党と調整した上で近く閣議決定し、06年度中に実施する。供与額は当初、04年度の859億円から大幅な減額も検討したが、120億円程度の削減になった。
会議後、安倍晋三官房長官は記者会見で「海外経済協力の持つ意味、地域の安定、平和の観点や現在の(日中)2国間の置かれた状況などを総合的に判断した」と凍結解除と削減幅の理由を説明した。供与は主に環境分野を中心に行われる見通し。
対中円借款は東シナ海のガス田開発協議で中国が尖閣諸島周辺の共同開発を提案したことや、小泉純一郎首相の靖国神社参拝への激しい非難に自民党が反発を強め、決定が見送られていた。先月の日中外相会談で、経済や文化、安全保障などの各分野で協力や交流を進めることで一致したことから凍結解除の環境が整ったと判断した。
また、会議ではイラク新政府への政府開発援助(ODA)を行うことも決めた。【中田純平】
毎日新聞 2006年6月6日 11時44分 (最終更新時間 6月6日 12時30分)