小泉純一郎首相はキムチが嫌いだ。首相就任後、初めてソウルを訪問する直前、その話を聞いた韓国外交当局が「キムチは韓国の国民食だから、公言しない方がいい」と日本側に忠告した。結局、金大中(キムデジュン)大統領(当時)との会食では敬意を表し「キムチを口にした」(飯島勲秘書官)。しかし、盧武鉉(ノムヒョン)大統領になって靖国問題などで日韓関係は悪化の一途をたどる。
首相に言わせれば「オレはキムチだけでなく、日本の漬物も食べない」とのことだ。一緒にカレーライスを食べた時も、首相は福神漬けに手をつけなかった。
首脳外交に詳しい高島肇久前外務報道官は「供宴では食べ物や酒、音楽で嫌いなものを出さないよう、事務方は細心の準備と注意を払う」と話す。ちょっとした好き嫌いが外交に微妙な影を落としかねないからだ。
今日から外遊が続く。首相は誕生日が同じで40年来のファンであるプレスリーの旧宅を、ブッシュ大統領と見学する。漬物は出そうにないが、事務方が小泉さんの好みに気を使うのも、この夏が最後になる。【徳増信哉】
毎日新聞 2006年6月27日 12時47分