【ブリュッセル福原直樹】欧州の人権機関「欧州評議会」(46カ国)は27日、米中央情報局(CIA)によるテロ容疑者の不当拘束問題で「欧州の20カ国以上が拘束に協力した」との最終報告書を採択した。同評議会は「テロとの戦いでも人権を尊重すべきだ」と米国を強く批判し、不当拘束が再発しないよう欧州各国に監視強化を求めた。
報告書は(1)米国の依頼でポーランド、ルーマニアが容疑者の秘密収容施設を運営した(2)ドイツ、トルコなど5カ国が容疑者を米に引き渡した(3)英国やイタリア、スペインなど10カ国が拘束者の移送で空港などを利用させた--などと指摘。「欧州各国はCIAと共謀し、世界に不当拘束の網を張り巡らした」と批判した。
これに対し米国は「報告書には具体的な証拠がない」と反論。欧州諸国の多くも関与を否定した。だが、同評議会のマーティ報告官(スイス)らは「被害者の十分な証言がある」と述べた。
テロ容疑者の不当拘束問題は03~04年、独やエジプト国籍の男性らが拘束され拷問されるなど欧州で10件が報告された。
毎日新聞 2006年6月28日 10時34分