国会議事堂(東京都千代田区)の背後に建設、あるいは建設予定の二つの高層ビルの事業者が、国会事務局や東京都の要請を受け、構想よりビルの高さを低く抑えた。国会を取り巻く景観を維持するのが目的。国会の景観に関してはまた、都が新たな指針を施行し高さの規制を始めた。
二つの事業者は、年内に国会西側のキャピトル東急ホテルを取り壊しホテルを含む複合ビルを建設する東急電鉄と、今年2月に商業ビルなどの建設に着工した東京放送(TBS)。東急は構想段階で168メートルとする案もあったが、最終的に130メートル(29階建て)に、TBSも10メートル低い179メートル(39階建て)にした。
両ビルを含め、国会周辺では90年代末から高層ビルの計画・建設が相次いでいる。都は今年4月「眺望に関する景観誘導指針」を施行し、国会前交差点の高さ1.5メートルの目線で見て、半径1キロの建物は議事堂の上に出てはいけないなどの規制に乗り出した。
両ビルは指針ができる前に計画決定したため、その対象外。自主抑制で、東急のビルは国会敷地内のカシの木に隠れ、TBSも議事堂より高くはなるが「ビルの頂部を議事堂をモチーフにしたデザインにし、調和を図った」(広報部)という。【小山由宇】
毎日新聞 2006年7月4日