札幌国際ハーフマラソンは9日、札幌市円山陸上競技場を発着点とする21.0975キロのコースで男女同時スタートにより行われ、女子はアテネ五輪マラソン金メダリストの野口みずき(シスメックス)が大会記録を9秒更新する1時間8分14秒で初優勝した。従来の大会記録保持者だった同五輪銀のキャサリン・ヌデレバ(ケニア)は腹部けいれんの影響で1時間11分50秒の8位にとどまった。
男子はサイラス・ジュイ(日産自動車)が大会記録にあと5秒と迫る1時間1分16秒で初優勝。戸村将幸(九電工)が日本人トップの10位に入った。アテネ五輪マラソン6位の諏訪利成(日清食品)は17位、同5位の油谷繁(中国電力)は23位、昨年世界選手権銅メダルの尾方剛(同)は24位だった。
▽ヌデレバ (過去3回優勝も今回は8位)5キロ付近で腹部がけいれんした。勝てなかったが納得している。(野口)みずきは素晴らしい走りをしたが、私ももっと良く走れるだろう。
◇ベルリン・マラソンに向けて弾み…野口
数々の実績を残している野口だが、この日はいつも以上に声を弾ませた。「この大会でやっと勝てた。格別にうれしい」。過去4回はいずれも2位か3位。念願の優勝を好記録で果たし、今年最大の目標となる9月のベルリン・マラソンに向けて弾みをつけた。
走りが硬かった昨年(3位)の反省から、リラックスを心がけてリズムに乗った。一段と高めた脚筋力や、練習から意識した左右のバランスや大きな腕振りを生かし、「ペースの指示もないからグイグイ行っちゃえ」とダイナミックに飛ばした。追走してきた大南博や男子選手も14キロ付近であっさり置き去りに。「ロングスパートを仕掛けてみたくて。『私、カッコいい』と思って走った」。自身も酔う快走は最後まで衰えなかった
ベルリンでは、昨年自身が出した2時間19分12秒の日本記録の更新を狙う。指標になるレースで好結果を残し、心身とも上向きでマラソン前のスイス高地合宿を迎える流れは「アテネ五輪前に似ている」。ベルリンが楽しみだねと聞かれると、自信ありげに笑ってみせた。【石井朗生】
○…男子の日本人でただ一人、果敢に先頭集団につけた戸村が、後半も粘り、日本人トップに。帝京大から九電工に入り2年目の24歳。山口・島田中で全日本中学三千メートルを制したが、最近は実績もなく無名とあって「沿道から(ナンバーカードの)400番がんばれと応援されました」。世界ロードランニング代表という思わぬ“ごほうび”も得て「弱気にならずチャンスを生かしたい」と意欲を見せた。
◆記録(3位までと日本人上位3人)
▽男子 (1)サイラス・ジュイ(日産自動車)1時間1分16秒(2)ギルマ(SUBARU)1時間1分21秒(3)ギルマ(ホンダ)1時間1分24秒(10)戸村将幸(九電工)1時間2分57秒(12)道方智徳(JFE)1時間3分5秒(14)池永和樹(コニカミノルタ)1時間3分9秒
▽女子 (1)野口みずき(シスメックス)1時間8分14秒=大会新(2)大南博美(トヨタ車体)1時間9分19秒(3)フィレス(ホクレン)1時間10分0秒(6)坂田昌美(京セラ)1時間11分19秒
毎日新聞 2006年7月9日 18時20分 (最終更新時間 7月9日 18時22分)