近ごろの日本の若い男性は元気がないと言われる。同世代の女性と比べると余計そう見えるという。世の中が若い男性を萎縮(いしゅく)させているのかもしれないし、マスコミも応援する構えが少なかったのかもしれない。雑誌「R25」の成功を見てそう考えた。
「R25」はリクルート社が首都圏で出す無料誌だ。A4判60ページ足らず。広告収入で成り立つ。創刊時50万部、今60万部が毎週木曜、駅やコンビニなど4500カ所に置かれるが、すぐ無くなってしまうので手に入りにくい。私は職場で誰かが読み終えたものをもらうことにしている。先日手にした表紙には「今号で2周年&100号」とあり、イラストの若者が「まだまだやれます」と腕を振り上げていた。
雑誌のコンセプトは、まさに若い男性を応援するというものだ。誌面では「オトコ」「オトナ」「人生」の語が目立つ。創刊発表時の報道資料は<政治もビジネスもスポーツも映画も「オトコ視点」で編集。25才以上の団塊Jrビジネスマンに贈る“無料の週刊誌”>とうたっていた。公式サイトは「18禁ならぬ25禁の雑誌」と説明する。
25~34歳の男性に照準を絞ったのは、同世代の女性に比べ生活満足度も消費意欲も低く「若年男性向けの消費財の売れ行きが低迷している」からだという。「R25」で励まして市場を活性化させようというわけだ。
一駅で読めるようにレビュー記事は約800字で統一した。持ち帰りたくなるように上質紙を使っている。周到な設計を感じさせる作りだ。が、一番の勝因はやはり若いオトコに支持されたということだろう。(編集局)
毎日新聞 2006年7月11日