山口県下関市で00年、安倍晋三官房長官の自宅車庫や後援会事務所に火炎瓶が投げ込まれた事件で、福岡地裁小倉支部(野島秀夫裁判長)は14日、元指定暴力団工藤会系組員、外間竜介被告(33)=服役中=に対し、非現住建造物等放火未遂などの罪で懲役10年(求刑懲役12年)の実刑判決を言い渡した。一連の事件で起訴された5被告のうち、判決が言い渡されたのは初めて。
野島裁判長は、99年4月の下関市長選で、安倍氏が推した候補を支援した土地ブローカーの小山佐市被告(68)=同罪で公判中=が、支援の見返りに安倍氏に現金を要求して断られたため、暴力団組員と共謀して報復したと指摘。外間被告が主に見張りや運転手役を務めたと認めた。野島裁判長は「一歩間違えば人命被害が出かねない極めて悪質な犯行。周辺住民にも不安感を与えた」と述べた。
判決によると、外間被告は同会系組長、高野基被告(56)=同罪で公判中=ら4人と共謀して00年6月17日、下関市上田中町の安倍氏宅の車庫付き倉庫に火炎瓶を投げ入れ、乗用車など3台を焼いた。さらに同28日ごろ、同市内の安倍氏の後援会事務所にも火炎瓶を投げ入れるなど、同年8月までに計5件の放火未遂事件を起こした。【太田誠一】
毎日新聞 2006年7月14日 12時19分