東京都町田市の石阪丈一市長(59)=前横浜市港北区長=の政治団体が昨年11月、横浜市幹部に政治資金パーティーへの参加や献金を電子メールで呼びかけた問題で、石阪市長が神奈川県警捜査2課の任意の事情聴取に「メールは長女(29)が送信した。私は相談や報告を受けなかった」と関与を否定していたことが分かった。同課は長女の独断とは考えにくいとみており16日、政治資金規正法違反(公務員の地位利用)容疑で町田市役所や石阪市長宅など計13カ所を家宅捜索、市長のパソコンなど約180点を押収した。
関係者によると、問題のメールは昨年11月5日、14日の2回、石阪市長の政治団体「町田市政研究会」のメールアドレスから横浜市幹部約80人に一斉送信された。同研究会のアドレスは市長や長女などごく少数の関係者しか使用できないという。
調べでは、石阪市長は今月3回あった事情聴取の際、▽当時実質的な秘書を務めていた長女がメールを送信した▽送信直前の昨年11月3、4日に、横浜市の北薗義広前市長室長と内容を調整したのも長女だった--などと説明したという。石阪市長はこれまでの会見などでも「メールは2回とも後援会職員の1人が送信した」などと自身の関与を否定していた。長女も任意の聴取に「メールは自分が送った」と説明しているという。
しかし同課は、石阪市長と同居して公私で接触する長女の独断とは考えにくいことや、市長自身が北薗前室長と事前調整していたとの関係者証言などから、市長が送信に積極関与した疑いが強いと判断。16日の捜索などで押収した資料を分析し、石阪市長と北薗前室長を近く政治資金規正法違反容疑で書類送検する方針だ。
毎日新聞 2006年7月17日