20日告示された長野県知事選で、自民、民主両党は党本部レベルで自主投票を決め、選挙戦と距離を置いた。現職の田中康夫知事と、自民党前衆院議員の村井仁氏の一騎打ち。両党の県連は「反田中」で足並みをそろえてきたが、それぞれの事情から、中央では身動きがとりづらい構図となっている。
自民党本部は、内々に推薦を求めてきた村井陣営に対し「県民党として戦うべきだ」と拒否した。村井氏は昨年、郵政民営化関連法案に反対票を投じた「造反組」の一人。党本部としても、積極的に推す機運に乏しかった。
ただ、最近の党の情勢調査では「激戦」との結果が出され、党内の空気が微妙に変わりつつある。武部勤幹事長は19日の党本部での会合で「長年自民党でやってきた人が知事選に出るのだから、できる範囲で応援している」と、微妙に村井氏に肩入れした。今後、どこまで「支援色」を出すかが課題となる。
より、難しい対応を迫られているのが民主党。小沢一郎代表は田中氏と個人的に親しいが、支持団体の連合長野は村井氏を推薦した。選挙戦を「田中氏優位」とみている同党は「民主党と田中氏は考えが近い」(幹部)と「反田中」に回りたくない本音をのぞかせるが、来夏の参院選を考えれば、連合との関係悪化を避けたい思惑もある。
小沢氏は選挙期間中の長野入りはしない予定だが、側近議員は「目的は政権交代。敵の敵は味方だ」と、自主的に「田中氏支援」で動く考えを示した。一方、同党の選対関係者は「(対応について)相談があれば『反田中で』と耳打ちする」と語った。【米村耕一、衛藤達生】
毎日新聞 2006年7月20日 20時19分