職場の人間関係がぎくしゃくして心の相談が増加--。独立行政法人「労働者健康福祉機構」(伊藤庄平理事長)が全国20カ所の労災病院で実施する「勤労者心の電話相談」のまとめで、そんな傾向が明らかになった。05年度の相談件数は前年度比17%増で、内容は職場の上司や同僚との人間関係が増えている。同機構は、不況下で進んだリストラなどの影響による過重労働が、職場や労働者に暗い影を落としていると分析する。
心の電話相談は00年から開設。相談件数は年々増え、05年度は1万9178件に上った。相談内容は「上司との人間関係」がトップで1685件(前年比130件増)、次いで「同僚との人間関係」が1372件(同162件増)だった。一方、リストラなどの影響で増えていた「社内いじめ」は316件で、前年度より70件減った。相談者は30代が最多で、次いで40代、50代、20代の順だった。
電話やメールでの相談に応じている同機構の山本晴義・勤労者メンタルヘルスセンター長は「リストラで人が減り、仕事量、質ともに負担が増えたため、職場での人間関係をぎくしゃくさせている。不眠を訴える人も急増しており、うつ病のサイン、過重労働の結果としても見逃せない」と分析する。【東海林智】
毎日新聞 2006年7月24日 10時51分