総務省は国勢調査の回収方法について、次回2010年の調査から、調査員が面会して回収していた従来の方式を改め、郵送による回収を原則とし、インターネットによる回答もできるようにする方針を固めた。プライバシー意識の高まりに配慮したもので、「国勢調査の実施に関する有識者懇談会」(座長、竹内啓・東大名誉教授)が24日まとめた調査方法の見直しに関する最終報告で提言した。1920年の調査開始以来、初の抜本的な見直しとなる。
最終報告は、オートロックマンションの普及や共働き世帯の増加などで、調査員が住民と直接面会できないケースが増えた事情を指摘。マンションの管理会社や管理組合に調査業務を委託するなどの改善案も盛り込んだ。また、調査票の配布については、居住実態を把握するために従来通り調査員が世帯に直接配布することを原則とした。
国勢調査は5年に1回、日本に住むすべての人(外国人を含む)を対象に、年齢、性別、国籍、仕事の種類、世帯員の数などを調べる最も基本的な調査。18回目の05年調査では、調査票を提出しなかった世帯が全国で4.4%(210万世帯)に上り、00年調査の1.7%(81万世帯)、95年の0.5%(20万世帯)に比べて急増した。
調査そのものが揺らぎかねない事態を受け、同省は今年1月に同懇談会を設置し、改善法を検討していた。インターネットによる回答は、米国や韓国など諸外国で導入されているが、セキュリティー対策が必要なため、来年度から試験調査を始め、09年夏に新たな調査方法を最終決定する。
【葛西大博】
毎日新聞 2006年7月24日 21時36分