額賀福志郎防衛庁長官は25日、自衛隊発足以来、制度上なかった防衛庁内局「背広組」と自衛隊「制服組」の幹部人事交流を始める方針を固め、事務当局に指示した。今夏の定期異動で、制服自衛官が内局の課長級ポストに、内局幹部が自衛隊の各幕僚監部の課長に就任する方向。人事異動に伴い必要な防衛庁組織令などの改正を検討している。
防衛庁を巡っては、内局と陸海空自衛隊がそれぞれが独立した組織との意識が強く「お互い、けん制しあうばかりで、防衛庁全体のことを考える幹部が足りない」(防衛庁首脳)などと弊害が指摘されてきた。このため、制服・背広の幹部人事交流で意識改革を図り、防衛庁全体を見渡せる人材の育成を目指す。
制服組では、内局の課長に相当する「1佐」クラスを交流の対象として想定している。これまでも広報課や防衛政策課のように自衛官が内局に勤務するケースはあったが、身分は各幕僚監部に置かれたままの「臨時勤務」。課長級以上は認められてこなかった。
陸海空の自衛隊幹部が内局勤務になる場合には、他省庁や民間企業に出向する際と同様、一時的に制服を脱ぎ「背広姿で」勤務する予定。現行制度上は、内局課長は事務官が、幕僚監部課長は自衛官が勤めることになっている。このため、身分を一定期間、変更する手続きなどのため防衛庁組織令などの改正が必要になるとみられる。【古本陽荘】
毎日新聞 2006年7月26日