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憂楽帳:ふぞろいな真珠

かつて地方が首都機能移転の綱引きに夢中だったころ、当時の自治相が「真珠のネックレスのような国をつくりたい」といっていた。真珠一つ一つを大都市や地方に例えて、それらが輪となってつながる美しい国にしたいとの意味だった。「なぜダイヤではだめなのか」など詳細を聞きそびれ、大臣も数年前に亡くなってしまったが、地方を考える際のいい例えに思えて、いまも記憶に残っている。

 平成の大合併で、現在暮らす岩手県の市町村数は昨春の58から35に収れんした。合併劇を見ると、自治体も人の縁と同じようで、人がうらやむ良縁もあれば、その逆もある。「うちは無縁」と孤高の道を選んだところもあった。先の大臣の言葉を借りれば、今回、全国で新しい真珠が誕生したことになる。しかし、どうも真珠のサイズが不ぞろい。強者合併、弱者合併のせいだろうが、自治体間格差がさらに広がるのではと気になる。ここはネックレスのように連携し、斬新なアイデアで小粒でもきらりと光沢のある真珠を目指してほしいものだ。【米澤和久】

毎日新聞 2006年7月29日 

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