総務省は、NHKが保有する教育用ビデオクリップや番組を全国の小中学校に配信する実験プロジェクトを今秋から開始する。9月ごろの配信開始を目指し、参加を希望する学校を近く募集。NHKが保有する膨大な番組ソフト資産をめぐっては、政府・与党からも積極的な活用を求める声が高まっており、今回の学校向け配信は先駆けになりそうだ。
配信実験は今年9月から3年間、無料で実施する予定。財団法人マルチメディア振興センターを中心に、NTTやNEC、マイクロソフトなどの民間企業も参加して教育用映像の配信母体となる団体を設立する。実験を通じ配信技術、事業モデルを確立した上で、次世代の授業のモデルとして普及を図りたい考えだ。
映像配信は、プロジェクトに参加する協力企業のホームページなどからダウンロードするなどして利用できる。当初は理科や社会の約2000本の提供からスタート。「地震の発生メカニズム」など、通常の授業では教えづらい分野も映像で分かりやすく伝える。
政府は学校での光ファイバーによる超高速インターネット接続の実現を掲げ、今年1月には校内LANや普通教室のIT環境整備について計画を作成。映像コンテンツの配信とともに、校内LANの整備普及を目指したい考えだ。【森有正】
毎日新聞 2006年7月4日