東京都新宿区のディスカウントストア「ドン・キホーテ新宿東口本店」で昨年3月、エレベーターが下降し、利用者がけがをする事故があったことが分かった。エレベーターは「日本オーチス・エレベータ」製で、港区のマンションで高校生が死亡した事故と同じ「エス・イー・シーエレベーター」が保守点検を担当していた。専門機関の調査でブレーキパッドに油が付着していたことが原因とみられ、警視庁はエス社の点検の実態に関心を寄せている。
調べなどによると、昨年3月27日午後4時ごろ、定員9人のエレベーターに11人が乗り、1階から上層階に行こうとしたところ、ブザーが鳴り、ドアが半開きの状態で地下1階まで下降し、緩衝器に衝突して止まった。8人が首の痛みなどを訴えた。
ドン・キホーテの依頼を受けた「財団法人日本建築設備・昇降機センター」が調査したところ、ブレーキパッドの接触面に油が付着しており、制動力が弱まっていた。その状態で定員以上の利用者が乗ったため、つるべ式の「おもり」との重量差で「かご」が下降したとみられるという。
オーチス社法務室は「機械的には異常がないと認識している。メーカーに問題はないという調査結果が出たと聞いている」と話す。エス社営業本部は「一切コメントできない」としている。【宮川裕章】
毎日新聞 2006年7月6日 12時44分