王子製紙社長:三菱商事側に北越への出資をやめるよう要請
北越製紙との経営統合を目指し、敵対的な株式公開買い付け(TOB)実施を表明した製紙最大手、王子製紙の篠田和久社長は24日、北越の増資の引き受けを別途計画している三菱商事の小島順彦社長らと会談し、北越への出資を撤回するよう要請した。篠田社長によると、三菱商事側は「すでに北越との契約は成立しており、現時点で出資を撤回することはできない」と回答した。
一方、北越製紙の三輪正明社長は同日会見し、「増資撤回に応じるつもりはない」と述べた。王子の統合提案に反対する理由として、「王子と一緒になると、日本一の水準にある(北越の)新潟工場の生産効率が低下してしまう」とデメリットを強調した。
王子の篠田社長は、「(経営統合か増資か)どちらがいい案か。特に北越製紙の株主の利益にかかわるので北越がきっちり解決するのが筋だ」と述べ、数日間、北越製紙の対応を待つ考えを示した。
三菱商事との会談は約1時間。三菱側は「商社として製紙業界にもう一段踏み込んでいくメリットがあると判断した」と北越の増資に応じた理由を説明。また、その増資契約の前に、王子が北越に経営統合を提案していたことについては、「何かやっているとは聞いていたが、経営統合提案そのものについては知らなかった」と述べたという。
王子製紙は23日に北越株式の過半数を8月中旬にTOBで取得する方針を表明した。しかし北越はこの方針に強く反発。同商事を引受先とする増資を予定通り実施すると24日に発表した。【小原綾子】
毎日新聞 2006年7月24日 20時34分