2年後に夏季五輪が開催される北京でこのほど「五輪と都市発展」と題するフォーラムが、各国から専門家が参加して開催された。五輪開催都市のブランドとしての価値が高まる経緯などについて報告があり、北京の可能性について意見を交わした。
成功例として取り上げられたのは92年夏季五輪のバルセロナ。現在も同地では92年が「マジカル・サマー」と呼ばれており、観光客数は大会後も増加を続け、五輪前の4倍近くに達しているという。
バルセロナ大から参加したブルネット教授は「われわれのコンセプトは『コストは最低に、インパクトは最大に』だった」と紹介。行政、経済界、市民などすべての部門が共通の認識を持つことの大切さを訴えた。
次々と新しい高層ビルが建つ北京は、経済効率最優先の開発が一部で批判されている。北京人民大の金元浦教授は「現代化ということがあまりに単純に理解されている」と指摘。一方で「五輪準備を契機に文化、歴史遺産の大切さに目を向ける動きも生まれている」とプラス面を紹介した。
00年夏季五輪を開催したシドニーからは南オーストラリア大のブラウン教授が「都市のイメージ戦略に関しては組織委員会は何もできない。むしろ五輪とは直接関係ない人々にかかっている」との意見を述べた。そうした面では、英国リバプール大のガルシア研究員が「中国は長い歴史がある。北京五輪に対してはこれまでの五輪より文化面への関心が強い」と北京への期待を寄せた。(共同)
毎日新聞 2006年7月25日 9時09分