全国に13カ所ある国立ハンセン病療養所の最南端に位置する宮古南静園(沖縄県宮古島市)。その入園者自治会長を通算20年務めてきた手腕が評価され、6月、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)の会長に就いた。前身組織が1951年に結成されて以来、沖縄の施設から選ばれるのは初めてだ。
宮古島生まれ。16歳の時に発症し、2年後、「近所に病気が知られ、家族に迷惑がかかる」と、わざわざ本島にある沖縄愛楽園(名護市)に入所した。
当時は慢性的な人手不足。入所時には手足の感覚まひ以外に病気の後遺症はなかったが、職員の代わりに重症者の介護や畑仕事を強制され、無理がたたって両手の指が曲がる障害を負う。「古里のほうが安心して療養できる」と考え、10年後に南静園へ移ったが、家族全員が島を出て離散していた。
南静園の入所者は全国で2番目に少ない104人。存廃問題が現実味を帯びている。他の療養所に先駆け、10年前から施設をどういう形で存続させていくかの構想づくりに取り組む。「園が社会から孤立したままでは入所者の幸せはない」。地域住民への開放を基本とする計画を来年にもまとめる。
全国の入所者も約3100人にまで減り、全療協にとっても各療養所の将来構想が最大の懸案だ。「地域社会と共生することが大切。それが差別の壁をなくすことにもつながる」【江刺正嘉】
【略歴】宮里光雄(みやざと・みつお)さん 沖縄県出身。9人兄弟の六男。趣味の囲碁はアマチュア六段で、全国の療養所で一番の腕前との評判。情に厚い宮古島の人々を愛している。71歳。
毎日新聞 2006年7月27日